西武がここぞの場面で繰り出した、連携による牽制。
西武のかっこよさが目立つこのプレーだが、ランナーが集中していれば起きえない
理由を示そう。
いや、集中が欠如しても不要なプレーだった。
このプレーは延長11回二死満塁という場面だった。
ナゴヤドームで行われたこの試合は、つまりこの場面、1点入ればサヨナラという
事になる。
1点でいいのだから一塁ランナーは多くの塁を狙うことはない。
とにかく死なないことだけが必要だ。
二塁に残れば、それは勝ちを意味し、一塁くぎ付けのプレーでも三塁ランナーが
生還すればゲームセットだ。
この状況でリードが必要か。
細川のリードは人工芝部分にまで完全に出るほど大きかった。
これはファーストがベースから離れているから俺を無視している、という判断からだ。
死なないことを考えるこの場面でリードを大きく取ったのは、内野ゴロの時、フォ
ースアウトを阻むためだ。
それ以外の理由が思いつかない。
これを念頭にリードをとったのだろう。
この時、死なないことというより先の塁で生き残ることが頭の中心にあったのだろう。
自分が多くの塁を進むことが不要なこの場面で、死なないことを大前提に考えれば
ファーストの動きに気をつけよう、と浮かびそうなものだ。
少なくともランナーコーチはそこだけはケアする。
そしてもうひとつの理由が大事なのだが、ここがあまり野球の理屈として聞かさ
れることがないと思われる。
セオリーとはなっていないのだ。
それは、盗塁をする気がないならリードはいらないということだ。
いわゆる第二リードで十分だし、第二リードはリードを大きく取った場合とそうで
ない場合とで変わらない。
できるだけ大きなリードをとってもピッチャーが投げてからとる第二リードは限
られる。
第二リードで出られる距離は決まっているのだ。
機敏なランナーとそうでないランナー、ハイセンスのランナーとそうでないランナー
でその距離は変変わってくるが、そのランナーの第二リードの距離というのは限
られる、決まっている。
そしてリードを大きくしようが小さくしようが第二リードの限られた距離への到
達は変わらないのだ。
それならベース付近に立っていて、ピッチャーがホームに投げることがわかってから
第二リードをとれば、大きなリードをとってからのものと変わらないだけの距離
を動くことができる。
盗塁不要のこの場面では、第二リードをすればいいだけとなる。
リードはいらない。
ベースに付いていなくてもいいが、大きなリードはいらないし、ピッチャーの動き
だけ見ていて、第二リードだけ考えればいい。


