メキシコ戦の9回、吉田は四球を選ぶと三塁側ダッグアウト方面を指でさした。
瞬間、村上へ向けて、よし、回したぞ、と伝えたのだと直感した。
後に話題となったシーンではあるが、一般には村上に対して、お前が決めろ、というメッセージだった
という風に受け取られている。
解釈に大差はないが、お前が決めろ、では長打が必要になってくる。
試合を決めるのには2点がいる場面であり、それには長打が必要だ。
長打を要求する場面ではなく、とにかくつなぐことが大事な場面だから、お前が決めろ、よりは
チャンスをお前に回したぞ、の方が合っているだろう。
そしてその村上はアメリカに渡ってからストッキングを見せるスタイルに変更していた。
いわゆるオールドスタイルとかクラシックスタイルとか韋駄天スタイルとか言われるタイプだ。
かつてイチローが不振の時、チームメイトが揃えたことを思い出させる。
そしてアメリカの地で日本中を興奮させたイチローのタイムリーを小さい頃見て野球を続けてきた村上は
アメリカの地でそれにあやかり、真似たかったのだろう。
アメリカに渡ってからはストッキングを見せるスタイルでプレーしよう、と決めていたと思われる。