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プロ野球 乱闘騒ぎ 再録

球場のファンもテレビの前のファンもエンターテインメントのうちと楽しんでいた。

冷静に考えると、公衆の面前でよくもまあ人を殴れるものだと思う。

 

暴力に敏感になった世相の影響が一番大きくエンターテインメントではなくなり、

両リーグで12チームしかなく、明日にもよそのチームに行くことがあったり、

クビになったとき拾ってもらうよう嫌われない行動をとるということが頭をよぎったり

といった理由で乱闘はなくなった。

また、引退後の仕事のことも考える。

 

日本代表やオールスターで敵のチームのプレーヤーが一緒にプレーしたり、

他チーム選手と会食、オフの交流(ゴルフ、食事、合同自主トレ)が、敵愾心を失くさせる。

 

昭和のプロ野球選手の匂いを残す最後の選手と言われた清原。

清原には乱闘のイメージがついている。

 

それは、打ち方に欠陥があったため、内に来た球を避けられないのでデッドボールが多かったからだ。

デッドボールの多さから岸和田の血が騒いだものの、番長と呼ばれながら実は、

手をあげたことはない。

 

平沼にバットを放って、ジャンピングニーをしたのが一度だけ。

殴ったことはない。

この平沼の時も、ぶつけられ、頭に血が上り、バットを放り投げ、

向かってくる平沼に思わずというか、仕方なくジャンピングニーをした格好だった。

 

その後、一人になった清原は、両軍が飛び出してくるや、逃げ回ると

ロッテの外国人・ディアスに首根っこをつかまれ、つぶされた。

ちなみに、このディアスは北米リーグの、つまりMLBの、

腕相撲大会のチャンピオンという肩書をもつほどの剛力だった。

スタローンに顔が似ていることとマッチョからあだ名がランボー。

 

ほとんどの乱闘で、殴るのはいつも外国人プレーヤーであり、このように間に入って、

殴るのも外国人プレーヤーだ。

 

清原はドアスイングのため、早めに打ちに行く。

つまり、スイングをかけるのが、ボールがピッチャー寄りにあるときで、判断が早いのだ。

そのため、まだ、自分の近くに来ていないのに打ちに行っている状態であるため

体の方に向かってくる球をよけられない。

 

その清原も死球を受けるとまず、相手をにらみ、一喝する。

そして、足が速くないのでピッチャーへ向かうことをしない。

走って向かわなければ、両軍から選手が飛び出し、キャッチャー、主審が止めるので、

この時点でもう殴ることはできない。

 

しかも、殴るということは、したくない、あるいは、できないので一喝することで

両軍選手が入り乱れるのを待っている意図もあった。

 

そして、清原のこういうシーンが目立ったのも年下の選手が多くなった巨人時代からで、

先輩ピッチャーにまで向かうことはまずない。

平沼は先輩だったが、当時のあまりのデッドボールの多さについに頭に血が上り、

やってしまった行動だ。

 

あの時も腕に当たり、よけた勢いで左手はバットを離した。

右手はたまたま、まだバットを持っている状態だったので思わず、投げつけた。

 

そもそも、デッドボールでピッチャーに殴りかかることができるということは、

たいしたダメージはないということだ。

まともに当たっていたら、痛くてその場にうずくまり、反撃しようという気が起こらない。

 

コリジョンルールがない頃は、ランナーはブロックするキャッチャーに体当たりをよくしていた。

体当たりする選手は外国人か体の大きな選手が多かったもの。

 

スマートな選手は滑りながらキャッチャーの下半身を狙ってぶつかりに行った。

ヤクルト・池山が一度、広島・西山をスライディングしながら弾き飛ばし脳震盪を起こさせた。

その後のカードでまた、同じように体当たりがあり、弾き飛ばされた西山は頭に血が上り

ボールを握った右手で背中を向けていた池山を殴った。

 

池山の方が西山より2つ年上。

年功序列の球界で年下が年上の選手に殴るということはまずない。

争いごとが少なくなり、仲良しこよしの傾向がある今のプロの世界ではもっとありえない出来事だ。

それだけ冷静さを失った西山は、一瞬でカッとなり手を挙げてしまったのだ。

 

打者はぶつけられたときは、相手が誰であろうと一瞬血が上るもの。

身の危険に対する反抗心が頭に血を昇らせる。

 

もう40年以上前、乱闘、暴力沙汰ということでよく話題に上ったのは、シピンでだった。

シピンは、大洋から巨人に移籍したにもかかわらず、古巣、大洋の門田を殴った。

その後、巷では、門田が打たれたり、フォアボールを出したり、ふがいない投球をすると、

「だから、シピンに殴られるんだよ」と、ネタにされ、笑い話にもちあがったものだ。

 

東尾を殴ったデービス、宮下を殴ったクロマティ、与田をマウントから殴ったブラッグス、

接触プレーで高木豊を殴ったブリッグス、元ボクサーのためファイティングポーズをとって

ワンツーを繰り出したリベラ、ピッチャーを外野まで追いかけて行き、金田に蹴られたトレーバー、

同じく大門を外野まで追いかけたアレン。

 

王は、バッキーに連続して体の近くに投げられても、マウンドへ抗議に行っただけだった。

ビーンボールを投げた方のバッキーが、荒川を殴っている。

そして代わったピッチャーから王は頭部にぶつけられ、怒った次打者の長嶋がホームランで黙らせた。

 

外国人は、しがらみがないので、相手が誰であろうと殴る。

また、自己防衛の意識が高く、やられたらやりかえさないとなめられることが常識、道徳のため殴る。

 

デービスは、東尾がそれまで、ビーンボール、死球が多かったため、次、来たら行ったる、

と向かっていったそうだ。

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