いつまでも同じ性能の道具を使って、競技をするということは不可能で、技術の進歩とともに
道具は改良されて然りなのだが、過度の機能となることにはどこかで規制しないと、
競技そのものの存在意義がなくなる。
2020-11-15 競技は道具によって結果が大きく違う 厚底シューズ 今週のトピックス
長距離界を席巻するクッションの効いた厚底シューズには選手自身でも疑問を持っている人がいる。
それでもそれに手が伸びるのは、選手は速く走ることができるから楽しいからだ。
タイムが伸びていくのが楽しい。だからそちらに手を出す。
また、自分は履きたくない、履くべきでないと疑問をもっていても、相手がそれを履くから履かないという選択はなくなる。
勝負にならないからだ。
そこで信念を貫いて抗議の意味を込めて履かないことを選択して、自分は負けていない、と主張しても、
なかなか周囲はそういう目で見てくれない。
靴という、目で見て分からないものには反応しにくく、タイムという瞭然たる結果で判断する。
信念を貫いてもそれに同調する風向きが変わらないのなら、勝負に徹した方がいいという選択をするのは人情だ。
まして、陸上選手の寿命は短いし、勝負に勝てる可能性があるレースも一生に一度かもしれない。
そしてピークも一生のうちで一瞬だ。
短い競技人生を信念にこだわって、名声を棒に振る決断はできない。
先日、1万メートルを日本記録で優勝し、東京オリンピック代表を決めた32歳の新谷は
その前に出場したクィーンズ駅伝3区を区間新記録で快走、従来の記録を1分10秒も縮めた。
10.9キロしかない距離を1分10秒も縮めたのは異常と言って良く、靴の恩恵があるだろうということは
想像に易しい。
1分10秒差を縮めたわけじゃない。
これまでの最高記録を1分10秒も縮めたのだ。
3区はエースが集まる区間で、ということはこれまでの最高記録だって日本のトップランナーの中で
最高の記録ということとであり、箱根の山のようにタイム差が出やすいコースでなく、
平坦のロードで、たった10.9キロを1分10も縮めたわけだ。
この時はマラソン東京オリンピック代表の一山と前田も出ている。
襷を受けた時は2位で、トップとは10秒差、それを800メートルで抜いた。
抜かれた相手もこれまでの区間記録を上回っている。
マラソンは駆け引きがあるので相手によってタイムは変わるが、駅伝は自分のベストを出して、
チームに貢献しようとするから駆け引きよりタイムを、どれだけ差を広げられるか、差を縮められるか、という走りをする。
だから記録は伸びやすいということは言える。
新谷は1万メートルで快走したときは、3位以下の選手を周回遅れにさせるという圧倒的な実力で勝っている。
当然、他の選手も改造されたシューズ履いている。
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