ここまで記してきた左打者に有利な点は3つだった。
ひとつは最もよく言われる、一塁に近いということ。
それから右ピッチャーが多いということ。
そして、バッティング時に回転する、その方向に一塁があるということ。
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回転する方向に一塁があれば、打ちながら走り出せる。
回転に逆らわず、走りだせるということが左打者を有利にさせている。
そして4つめ。
打球の反対方向というのがまさに走るべき方向と反対方向に位置していることだ。
右打者の反対方向は走る方向となってしまう。
右打者が反対方向へ打つと打球を追いかける形となり、打球に近づいていくようになる。
打球の方が速いから、一塁に到達する頃にはワンプレーが終わっているものだ。
左打者の反対方向は走る方向とは逆になり、
打球の行方から遠ざかるように走ることができる。
野手が処理している間に一塁に到達するという内野安打が生まれやすい。
反対方向が一塁から遠い利点は、打者が引き付けて打った場合に飛んだ打球が
走る方向から遠ざかってくれるということ。
打者は引き付けて打つ方がいい。
いわゆる長く見る、という行為だ。
打者はできるだけ長く投球を見たい。
時間をもらえるほど球種や軌道を判断しやすい。
左打者はできるだけ長く見た投球を打ち、
不本意な当たりとなってもセーフの可能性が残るのだ。
こうすると、詰まることが怖くないことになる。
詰まっても、反対方向に行けば出塁できるから。
詰まることは敗けること、ピッチャーの力量が上回った、という常識があった。
だが、詰まることを恐れないバッティングも世間に浸透し、詰まることイコール
打者の負け、という認識も薄らいだ。
わざと詰まらせて、外野手の前に落とす技術を発表したイチローの存在が出てきて
からは、それも技術でやっているのかもしれないから、専門家もなかなか
力敗けしたという表現を使いづらくなった。
だが、詰まることが嫌じゃない、詰まらせる技術、などと言っているのは左打者
のセリフに思われる。
それは詰まっても反対方向が一塁から遠いからだ。


