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うまく行かなかった場合でも最悪を避ける技術

時に抜け球や逆球が狙っていないのにフロントドアやバックドアの効果を発揮して、打者には打ちにくくなる。

ただ、ピッチャーとしては意図していないので快心の投球とはならない。

狙った軌道とはズレたことにより結果としてバックドアの効果を発揮したものは

バッテリーとしてもはっきりとバックドアとは言い切れず、これは逆球や抜け球が

たまたま上手く行ったということになる。

見ている方もキャッチャーの構えているところとは逆のコースに行っているので、

たまたまという印象を受ける。

とは言え、本当に逆球、抜け球なのかはピッチャーに聞いてみないと分からない。

キャッチャーがわざと逆に構えている可能性もあるから。

第二回WBCのキューバ戦でコースを教える行為を察知した日本バッテリーは

意図するコースとは逆へキャッチャーが構えることにした。

この時、キャッチャーの城島は主審に、構えているところとは逆に来るけど

コースをちゃんと見てね、と伝えていたとされる。

構えているところとは違うところに来る球は逆球や抜け球と判断され、

それは思うように投げられなかった球として審判には印象が悪くなり、ボール判定されることがある。

だからそれを避けようと、これはわざと逆に構えているのですよ、意図しているのですよ、

ということを事前に伝えていたのだ。

コースをちゃんと見てね、逆に構えていてもストライクコースに来たら

ちゃんと判定してね、という念押しだ。

あえて、通常とは逆の技術によって成果を出す方法はバッティングにもある。

イチローは卓越した技術により、詰まってのヒットが多くあった。

この場合、詰まってのヒットではなく、芯を外してのヒットと言った方がいいか。

それは詰まるというのは芯に当てようとしたのに、打者のタイミングよりピッチャーの球の勢いが勝り、

窮屈なバッティングになった、という時に使う表現だから。

そうではなく、イチローは根元に当たっても内野の頭を越し、外野の前に落ちる可能性が残る打ち方、

身体の使い方をしているということのようだ。

色々な球が来るから、全てを真芯でとらえることは不可能となり、真芯でとらえられない場合でも

ヒットにできる引出しを備えているわけだ。

実際に、バットは根元から先まで使うべき、と主張していた。

詰まるのは嫌じゃない、という打者は結構いる。

他の球にも対応しなければいけないから詰まることも先に当たることもある。

だから詰まってもいい、という発想に転換し、それによってバッティングに幅を持たせようとしたからだろう。

芯を外しても脚でヒットにしたり、技術を習得することで外野の前に落とす確率を

増やしたことが出来たりして芯を外すことが怖くなくなり、嫌じゃなくなる。

だから、いわゆるテキサスヒットを飛んだところがよかった、とは言えなくなってしまった。

ピッチャーの構えているところとは違うところに行く球を逆球、抜け球と言えなくなったことと一緒だ。

思惑の範疇での成功には自らの技術の発露だから優越感がある。

だから、思い通りの球が、指にかかった球が、わずかベースを外れた場合、ピッチャーはとってほしいと思う。

逆に抜けた球で三振をとっても、どや顔にはならない。

抜け球がストライクコースに行ってボールと言われても納得するもの。

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