球種が増えた昨今は、その球種が何なのか解説者に求められることが多くなった。
変化球は下へと落ちる。
その下への落ち方の中で左右に行きながら、という球が加わる。
そしてこれにスピードの強弱がさらに加わる。
右ピッチャーのスライダーなら左へ曲がりながら落ちる。シュートならその逆。
フォークは打者にとって予想した軌道から急に落ちる、という概念だ。
これらの中に、カットボールやツーシームやスプリットなど昔は言わなかった、あるいは
認識されていなかった球種が増えた。
カットボールはスライダーよりスピードがあり、曲がりが少ない球、ツーシームは
シュートと一緒と言っていいが、シュートの中でも縫い目が二つ見えるように打者へ向かう球を言う。
ツーシームではない回転のシュートを投げるピッチャーもいるからだ。
スプリットはフォークより速く、落ちが少ない、といったところか。
だから右ピッチャーが左に曲げた球を「今の球はなんですか?」と聞く。
スライダーなのか、カットボールなのか、知りたいということだ。
見分けがつきにくいので、解説者も「カットですかね、スライダー系の球です」
と応えることになる。
昔はそんな表現がなかったから区別する必要もなかった。
だから球種としてはピッチャーが意図してカットボールのように小さい変化で
内野ゴロを打たそうという意図があっても、スプリットのような小さい変化でゲッツーを
とろうとする意図があってもいちいち言わなかったとも言える。
そして、解説者自身もそのピッチャーの持ち球にそんなものがあり、その意図を知らないから
とも言える。
この球種が増えたことにより戸惑う解説者の中には、遂にここまで来たか、という
とんでもない表現を使う人が現れた。
明日へつづけよう。