智辯和歌山が優勝したことでイチローの教えが奏功したという印象を与える。
イチローはたった3日訪れただけなので、そのおかげで優勝したということはなかろう。
イチローの影響については選手たちに聞けば、そりゃ、おかげだ、と言わなきゃいけない。
イチローだって、自分のおかげとは思っていない。
それでもイチローが伝えた走塁は、実践でも生きたという事例はあった。
1,2塁の状況で内野ゴロとなった時、1塁ランナーは場合によっては滑り込まず、そのまま駆け抜けろ、というものだ。
滑り込むより駆け抜けた方が速いからなのだが、駆け抜ければ当然狭殺プレーとなる。
それでも挟殺となれば、2塁ベースカバーの野手はそのオーバーランをしたランナーに注意は行ってしまい、どうしてもすぐにホームケアとはなりにくい、というもの。
挟まれている間に2塁にいたランナーがホームへ突っ込むのだ。
駆け抜け、狭殺プレーに持ち込み、点を獲る可能性に賭けようというプレーだ。
あるいは、無死や1死、1塁でも使えることになる。
ゲッツーを防ぐために駆け抜け、挟まれることで打者走者を生かすということだ。
相当練習したらしい。
それをそれまで勝てずにいた市立和歌山との大事な決勝戦で成功させた。
市立和歌山には小園というプロ注目のピッチャーがおり、智辯和歌山は勝てないでいた。
それが最後の大会でついに小園を攻略し、甲子園切符を掴むと、そのままの勢いで
全国制覇に至った。
イチローが言っていた、お見事でした、というのはその通り。
大願成就へ日頃の研究、練習が見事に花開いた。
これでこの戦法は各チーム練習することになるだろう。
野球のセオリーとして加わることになる。
このスライディングせず、駆け抜けろという戦略。
1塁とホームは駆け抜けてもオーバーランとはみなされないが、2塁と3塁はオーバーランとなり、
たとえ、フォースアウトにはならなくても狭殺プレーに持ち込まれ、結局アウトとなる。
だから、すべり込めというのが一般的な戦略だ。
滑り込めばベース上で止まることができるから。
だけど駆け抜けろとは滑り込むことより速いからだ。
逆に言えば、すべり込むのは減速する行為だということ。
これについては明日へ。
ちなみに神奈川のある強豪校ではホームインする際、返球が来ていない場合や、
余裕のタイミングでも滑れ、と教えている。
駆け抜けるとベースを踏まずに行ってしまうことがあるので、それを防ぐために
ホームは全て滑り込め、ということらしい。
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