野球選手の全盛期と言えば、もっとも成績がよかった頃を一般には言うだろう。
ピッチャーは勝ち星、防御率、三振数といったものが優秀だった頃となる。
野手は打撃力がないと試合に出られないから、バッティングの成績が良かった頃となる。
となると、打率、ホームラン、安打数ということになろう。
だが、道具が介在し、対戦型の競技である野球では数字だけでは計れないように思われる。
陸上のようにいわばタイムを競うものであれば、数字が全盛期と考えていいだろう。
本人が、本当の全盛期は最も記録が良かった時ではない、と言ったとしてもタイム
が出ていれば、全盛ではない、とも言いきれないはずだ。
ところが野球は自分だけで決められない。
ピッチャーなら打者のレベルによって成績は変わるし、打者はピッチャーのそれによる。
例えば、海外に渡ると決断する日本人選手はほとんどが日本でトップレベルの成績を
あげて、やることがなくなったごとく海外へ戦いの場所を求める。
それはきっと体力も技術も充実しているからそういう気持ちになるのだろう。
ところが、MLBの舞台は世界中の強者が集まるから、自身としてのレベルは最高潮であっても
出場の機会に恵まれない可能性がある。
傍目には海外では通用しなかった、と映ってしまいがちだが、本人はその時のレベルは最高であり、
他の選手と比べても劣っていない、タイミングやチャンスに恵まれなかっただけ、
と思っているかもしれない。それは本人しかわからない。
落合の全盛期は一般にはロッテ時代だろう。
三度も三冠王に輝いているのだから。
しかも、落合はプロ入団が遅いので、中日移籍は30代半ばを迎える頃だ。
それでも落合の最高潮は中日時代に映る。
全盛は成績ではなく体の充実を言うだろう。
技術の充実は体の充実とイコールと言えるから、体がよく動き、パワーもみなぎる頃が
結果も伴ってくるものだが、そこは相手がいることで数字もその通りいくとは限らない。
門田の全盛は40代か。
体力としてはもっと前かもしれないが、ピッチャーのレベルは上がっているはずだから
そこで40本以上のホームランを打てたのなら、40を越えてから全盛を迎えたかもしれない。