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確率を無視した戦いでの成功

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今日、センバツ決勝は勝って泣き、負けて泣き、素晴らしい試合だった。

この部分が高校野球文化の素晴らしいところ。

だから100年以上人の心を離さない。

 

昨年の3月は日本中を熱狂させたWBCだった。

あの興奮から1年を過ぎたわけだ。

 

WBCがあれほど盛り上がったのは史上最強チームで最高のストーリーを経て

優勝までたどり着いたからだった。

あれ以上のドラマは今後もない。

これからも感動を呼ぶ国際戦は当然、誕生するが、あれ以上のドラマは生まれにくい。

 

ただ、大会を通して日本の戦略にはいくつも首を傾げることがあった。

 

まず、右打者が圧倒的に少ないということ。

最近は投げるのが右でも打つのは左という選手がとても増えたので、

上から良い打者を選んで行くと、どうしても左打者ばかりになってしまう。

 

左打者が増えたのは野球のルール上、左打者の方が一塁に近くて有利ということとともに、

右ピッチャーが多いこと、イチローの影響が大きいことによる。

 

これに相対するようにピッチャーは左が圧倒的にいなかった。

その理由はこの大会でワンポイントが禁止されていたからだ。

ところが、イニング途中からその回を投げ切れば、結果ワンポイントのような

使い方が出来るルールではあったので、この使い方ができるし、しなければいけなかった。

 

最初の選考が終わった後、右打者の鈴木が断念すると、左打者の牧原を補充した。

さらに左打者を増やしたところで用はない。

右打者が欲しく、宮崎が一番良かったし、一流の左打者はもう残っていないのだから

一流半の右打者の方がまだ使いどころが考えられた。

 

そして大会中、栗原が離脱すると、残り3試合しかない中でたくさんいるピッチャーの補充に

右ピッチャーの山崎を招集した。

これまで戦ってきた右ピッチャーを差し置いて山崎を登板させる機会などない。

 

ここまでの戦いでワンポイントになるシーンがあることがわかったのだから、

補充するなら左ピッチャーだった。

 

ここまでが選手選考で納得できないところだ。

 

代表を断る選手が少なくなった最近の選手の意識によって、良い選手に声をかければ

多くが参加の意志を示す。

 

これまでのWBCの戦いに感動した選手たちが一流の選手となったため、

日本代表は名誉ととらえるようになったから。

だから選手選考には困らない。

 

ところが困らなくなったことで良い選手、実績ある選手を批判を受けないように選んでいくと

今度は偏った編成になってしまったのだ。

 

そしていざ試合になったときの選手起用に関してだ。

 

上位5人に左打者を並べていた。

東京で行われたリーグ戦と準々決勝までは相手が格下だから、これでも良かったが、

それによって勝ってしまったから換えることが難しくなり、

準決勝もそれを続けることとなってしまった。

 

準決勝以降、一流の左ピッチャーが出てくると当然、左打線はつながりが悪くなる。

一流の打者ばかりでも、左ピッチャーに対したら極端に確率が落ちるのは自明だ。

やる前からわかっている。

 

史上最強とも言われた選手たちでもそうなのだから、左ピッチャーが来ることがわかっていれば

右打者が必要だった。

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