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ドラフトがなければヒールにはならなかった江川と桑田

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早稲田進学を希望していた桑田が巨人から指名されたことで反故にし、

後輩の六大学への門が一時閉ざされたとされていた。

これを桑田の悪態とされる向きがあり、PLに迷惑をかけた、とされる。

しかし、これはむしろ組織や仕組みのせいだろう。

一個人にそこまで責任はない。

事件と呼ぶことさえあるこの出来事だが、事件化したのは六大学の方と見ることが出来る。

桑田には清原への裏切りと捉えられたドラフトと入団後の不動産トラブルにより

ダーティなイメージがついてしまったことにもよる。

事実であれば六大学の狭量だ。

六大学は野球を古くからけん引してきた自負があるので背を向けるような行為にプライドを傷つけられる。

つまりは戒め。

そっちがそう来るならこっちはこうするし、こっちには大きな影響力があるし、いいんですか?

という態度と言えよう。

そしてこれを桑田のせいにするならドラフト指名したプロ側にも責任があることになる。

ドラフト強行指名は本来、責任なんてものはないはずが、桑田のせいとされるなら、

それよりはプロの責任だろ、ということになるわけだ。

ドラフトはプロ側が作った、プロの理屈による制度。

ドラフトがなく、早い段階からどのチームも交渉してよく、選手が好きな球団を選べるのなら

桑田はもっと早い段階で決断できたわけだし、清原とともに巨人へ入団でき、ダーティイメージもつかなかった。

さらに、桑田が早稲田を希望していたのなら、巨人が横取りする際、

桑田、PL、六大学の間に入ってやり、後輩に影響が出るようなことがないよう配慮すべきはず。

桑田がそこまでの野球選手になったのは、その時点においては巨人も早稲田も関係ない。

それぞれの憧れがあったから桑田も野球に没頭したという面はあるものの、

実力を伸ばす過程は小学校から中学校に所属した各チームとPLと身近の人おかげであるのだから。

そしてこれが最大の理由になるが、一人の若者の人生の判断をするのに、

組織を慮って決断を鈍らせるなどということがあるべきか。

18歳の青年の人生において第一希望を捨てるなんてことができようはずがない。

若者の人生を組織が縛る慣習が六大学側の正義と捉える見方があることの方が不思議だ。

たった一人が悪者となり、顔が分からない大組織は悠然としていられるこの件の

決して小さくない桑田悪者の風潮は不思議でならない。

何より、本来、自由な職業先が選択できないドラフトにもっと異が唱えられていいはず。

江川のドラフトも今になって冷静に考えれば、職業選択の自由、互いの引き合い、

を無視した制度が生み出した悲劇。

巨人ばかりを見て育った憧れから、そこへ行きたいという10代の若者の当たり前の希望だったのだろうし、

そして、巨人からもラブコールがあるのだからくじなどに決められたくはないと思うのは当然のもの。

ところが江川が超大物だったので裏技を使い、マスコミの取り上げ方のせいで、
一気に悪者になってしまった。

ドラフトがなければヒールにはならなかったのだ。

実力のある選手ほど行きたい球団には行けない。

怪物ほどの実力があるとなおさらで、江川は三度も1位指名された。

江川のプロ入りを遅らせ、実力を削ぎ、ファンが最も見たい最高峰の野球選手の活躍を見せないという

本末転倒で裏切ったドラフト。

公開で新規入団選手を決めるという当事者としては

人生の明らかなターニングポイントとなる催しであることから自分の人生と重ね合わせ、

とても興味を持ってファンのみならず世間が見るため矛盾を抱えながらドラマとして楽しんでしまう。

それは同時に新戦力が大量に決定する場、さらに将来のチーム形成の意思表示も見えることから

野球という実際の競技を見せるわけではないのに、ひとつのドラマにまでなってしまった。

CSもそう。

矛盾だらけの制度でありながら、短期決戦で勝敗が決まるところにファンはシーズンと違う

興味を抱き注目している。

目先の試合で次へ進めるかどうかが決まるためプロがひと試合に狂喜乱舞する姿が

ドラマとしてとらえやすいのだ。

かつてドラフトには逆指名があった。

制度がある前から逆指名という言葉はあった。

江川は巨人を逆指名したし、清原もそう。

多くの大物は希望球団を言って、それは逆指名だ。

こちらから希望しますから、ぜひ指名して、そして引き当ててね、という。

逆指名が制度となったころは、高校生にはその権利がなかった。

その理由が高校生には判断能力がなく、周囲に利用されてしまう恐れがあるからだそう。

高校生は就職活動する判断ができないらしい。

自分の進路を考えることができないらしい。

逆指名で高校生に不相応の金が動き、周りが暗躍するからだろうが、それなら大学生も変わらない。

たかだか12社の中から選ぶだけだ。

しかも、これまで精通してきた野球でどれが自分にマッチするかを選ぶだけ。

どこに行こうと野球をやるということには変わらない。

一般の大学生が就職先を選ぶより鋭い見方を出来ると思われるくらいだ。

それでいながら、最後の決定方法がくじ引きだというのだから笑わされる。

これが高校生に最も適した人生の選び方と判断したのか。

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