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ホームラン量産の野球

甲子園大会が始まった。

今の甲子園でプレーをする高校生は甲子園のラッキーゾーンを知らない。

今は昔の映像を観る機会が得られるので、ラッキーゾーンが存在しているプレーを

知っているとは思われるが、野球に興味を持った時にはすでに今の甲子園だから

ラッキーゾーンなどすでに幻くらいに思っているかもしれない。

ラッキーゾーンがなくなってから31年が経った。

今、現役最年長の石川が43歳だから12歳の時ということになる。

高校生のみならずプロの現役選手でもほとんど知らないということだ。

撤去後の高校野球第一号として言い伝えられているのは当時、超高校級スラッガーとして

大注目されていた松井のものだ。

この時のホームランは開幕戦でのものだったから撤去された後の最初の試合で飛び出したことになる。

稀代のスラッガー登場のタイミングでの撤去だから、松井のために取っ払ったのかとも思えるほどだ。

しかし、この時のホームランは右中間からセンター寄りへ飛んでいったものだったので、

そもそもラッキーゾーンがなかった位置のように思われる。

だからこれを撤去後の1号と言っていいのかという気がする。

と言うより、そもそもラッキーゾーン撤去後第一号という言い方に意味があるのか。

ラッキーゾーンが出来て第一号ならそれまではホームランじゃなかったのに、

ホームランと記録される第一号だからわかるのだが、撤去後だとその前でもホームランなのだから

第一号とする意味がない。

ラッキーゾーンがなくなっても今の高校野球はホームランがよく出る。

これは第一の理由がホームランを打つための体づくりを含めた技術情報の多さにある。

蓄積されてきた知識がホームランを生んでいるのだ。

もうひとつの理由がバットの性能がどんどん良くなっていることだ。

30年前のバットとは比べ物にならないくらい扱いやすく、振り抜きやすくなっている。

ラッキーゾーンがなくなったことで顕著に減ったのはホームランではなく、エンタイトルツーベースだ。

ラッキーゾーンがある時代はワンバウンドした打球が網を越えていくことはよくあったが、

今は甲子園でエンタイトルツーベースはほとんど見かけない。

甲子園のラッキーゾーンを知らなくなった選手たちだが、他の球場にはある。

福岡や千葉はせっかく広く造った球場をホームランが出ないからと言って

わざわざ狭くした。

それをホームランテラスとかなんとか言って、ラッキーゾーンという言い方を嫌った。

ところで甲子園ではラッキーゾーンという言い方をしたが、これはラッキーなゾーンなのだろうか。

ラッキーゾーンという言い方がしっくりこない。

両翼に網が敷かれ、その先に以前からのフェンスがあり、そこからが客席となる。

ラッキーゾーンと言いながらも結局、網より先がホームランであり、インフィールドが

網までということとなり、他の球場となんら変わらないように思われる。

ラッキーゾーンという言い方をするなら、例えば左中間に丸い枠を用意して、

そこにノーバウンドで当たればツーベースヒットというルールにしたりすれば

ラッキーゾーンだ。

または右中間の一部だけ突然、フェンスが前に出て来ていて、そこだけホームベースからの距離が

70メートルのホームランゾーンならラッキーゾーンだ。

甲子園のかつてのラッキーゾーンは90メートル以上に設置されており、

昔の球場としては短いわけではなく、特にラッキーなわけではない。

当時よりバットの性能がかなり良くなっているので30年前と同じ形状で野球をやっていれば

甲子園大会のホームランは相当の数多く出ることになる。

こうなるとラッキーゾーンと言うより、甲子園はラッキー球場ということになる。

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