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秋はチーム再編の時期 新チーム発進

高校野球のサイクルは夏の大会が一番大きく、そしてこの大会が区切りになる。

どんなイベントも最後に盛り上がりを用意するものだ。

高校野球で夏を最後の大会にしながら、もっと規模が大きいものを他の時期に用意していたらシラケる。

例えば春を最大にした場合、その最大イベントで敗けてもまだその先があるから

泣き崩れることも少なくなる。

さらに春のあと夏があっても、もう最大のイベントが終わったから選手は気が抜けることになろう。

実際、夏の大会のあと国体があるが、この大会はご褒美のような感じで

高校野球最後を楽しもうという選手の雰囲気に満ちている。

ここで敗けても泣く選手はいない。

結局、意図しなくても最後の大会が、高校野球なら夏が最大イベントとなるのは必然であり、

それしか方法がないし、それ以外にする理由もなく、それが最適となる。

すると、秋の大会が最初という位置づけになる。

そして、この大会へ向かうチームを新チームと表現し、この大会への準備をはじめることを

新チーム始動という表現をする。

夏と秋の間隔は短い。

地域によっては甲子園大会が終わってすぐの8月中に始まるところもあるほど。

すると、夏に勝ち進むほど秋への準備期間がなくなり、秋は不利になるとも言われる。

夏の戦いに2年生がレギュラーに入り、1年生も食い込むほどのチームなら

新チームになっても実力があり、秋も勝ち上がる。

ところでこの新チームという言い方だが、春も新チームではある。

新たに1年生が入ってきて、チーム編成は変わるからだ。

しかし春を新しいチームとして認識することは少ない。

春の新チームは加入だ。

それま2世代でやってきたチームに1年生が加わることで3世代となる。

チームとしては新チームになったというより、戦力が補強されたという状況だろう。

そして、そのチームの主力を1年生が総なめすることはない。

ゲームに出る戦力として加わるのはせいぜい数人であり、多くのチームが1年生が戦力となっていくことはない。

したがい、既存の選手たちで夏まで戦っていくことになり、新チームとは言い切れない。

それと比べて秋はまさしく新チーム。

秋は、それまでの主力がごそっと抜ける。

それまで下級生の立場だった2年生が最上級生となり、ついに俺達の時代と気分が一新する。

1年生もこれからはどんどんゲームに出場することになり、高校野球ど真ん中へと突入する。

高校野球は3年間の高校野球生活という表現をよく使うが、

夏までは甲子園の決勝まで進んだとしても2年半もない。

甲子園に出場しないほとんどのチームが7月で高校野球を終えるので、高校野球生活とは2年4か月に満たないのだ。

高校生活が3年間であるだけだ。

高校野球は3世代、3学年が揃うのは4から5ヶ月と実は短いのだ。

1年生はこき使われるから、つらい時期と感じる人も多いが、たったの数か月のこと。

そして1年生から見たら3年生は遠い存在に映り、ずっとこの野球部を牛耳ってきた主のように感じるものだが、たったの2年しかやっていない。

そして高校を卒業してもその先輩、後輩関係は続くものだが、OBとなってしまえば

高校野球に携わってきた期間は皆、同じなのだ。

親以上に離れた大先輩であっても高校野球部に所属していた時間は皆、一緒。

その同じ期間の中で実績の上下や取り組みの濃淡があるので差があるようだが、

キャリアは皆一緒だ。

むしろレベルは上がっていくものなので一番若いOBこそ高校野球の歴史の多くを収斂した存在と言えそうだ。

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