球界を活気づける江夏と王のトレード画策があったとか。
独走する巨人から大物を放出する。
それは、王か長嶋となるが、象徴としての長嶋を置いておいて、王を放出する。
すると、それに見合うトレード要因としてはもう、江夏しかいない。
王が最も多くホームランを打ったのが江夏であり、江夏が最も多く三振を奪ったのが王だったか。
投打のナンバーワンがお互いにホームランと三振を奪い合っている。
これはロマンがある。
ではなく、王から最も三振を奪ったのが江夏で、江夏から最もホームランを打ったのが王だということだ。
まあ、それならそうだろう、とたいしたロマンではなかった。
だってホームラン王とドクターKなのだから、そういう結果になるだろう。
最強打者から三振を奪うには奪三振王でなければならないし、
奪三振王からホームランを打つには最強打者じゃなきゃままならない。
当然の結果だ。
ただ、これを聞くと王のすごさが分かる。
ナンバーワンピッチャーであり、最も三振を奪う左ピッチャーから左打者が最も
ホームランが多いというのは野球理論から言ってあり得ない。
全ての打者より突出していた実力がこれで証明されている。
ただ、江夏も王をライバル視しているから、三振を取りに行ったり、むきになったり、
スピードボールにこだわったり、といった他の打者とは違う心理状態と配球があったために
そういう結果につながったということもある。
野球はそもそもピッチャー有利にできている。
ピッチャー主導で始まり、ピッチャーは意思をこめられ、打者はそれに対応するという図式。
さらに、丸い、動くボールを細いバットの狭いスイートスポットに当てて、9人の
間に落とす、抜く、という結果を求められる。
そしてホームランとなれば、それら9人が届かない飛距離を出すという超難度を要求される。


