同じ距離を同じスピードで投げても、糸を引くようにスーと進む球筋の良い球質をもつ選手がいる。
キレが良いとかホップするとか、伸びるとかいくつか表現される種類があり、勢いのある球だ。
実際は
手から離れた球は徐々に減速し、バッターが打つ頃には、おじぎするそうだ。
つまり、伸びる球はないということだそうだ。
解するにこれは、
打者の目からは投手は18メートル以上先にいて、そこから放たれるボールは小さいし
見分けがつかないから伸びていると感じる球が存在するということだろう。
遠くにある小さい球は、投手から放たれた直後は、外角にくるのか内角に来るのか
暴投なのか、速いのか遅いのか、皆同じに見える。
遥か彼方にある星は、大きさが全然違っても、距離が圧倒的に違うため
人間の目には大きさに差異が分からない。遠いものは人間の目は判別できないということだ。
そして、近づくにつれ、球が大きくなり動いている様もわかるようになる。
遠い時は速い球も遅い球も大して変わらないが、近づくにつれ、その差は大きくなる。
近くに来たとき自分の反射能力が間に合わないような球が伸びていると感じるのでは。
情報過多の現代野球は、速い真っ直ぐだけでは抑えられない。
真っ直ぐだけで抑えるには見えない球か反応が絶対追いつかない球しかない。
目で動きをとらえられる限り、打てない速度の球はない。
仮に抑えても、慣れれば打ち返される。
別の球が来るかもと思って初めて、その真っ直ぐが打てないのであり、
変化球も、速い真っ直ぐがあるほど、生きてくる。
変化球かもという頭があるから、わかったときには、時遅しということになる。
「スラムダンク」の流川が、どうしてもドリブルで抜けない沢北に、
絶対しなかったパスをすることで、パスがあるかもと頭によぎらせ、抜いた時と同じこと。