慶応が最長の期間を空けての優勝を飾った今年の甲子園。
その期間107年。
第2回以来の優勝とは日本の野球発展に長く貢献してきたその存在に敬意を表する。
決勝史上初の先頭打者ホームラン。
史上初の親子全国制覇。
107年ぶりの優勝。
慶応の応援が話題になったが、
「相手が空振り三振をしたときとかに声援を送るのは、高校野球としてはなしだろうなというのは、反省材料として残りますよね」というのは慶応OBのアナウンサーの言だ。
すべて観ている側の感想にすぎない。
やっている方はいちいちそんなことで気落ちしたり傷ついたりしない。
甲子園には勝負に来ているから。そして試合中は戦闘モードだ。
そんな大応援団をしたがえるチームを相手に迎えたなら、それならお前らに勝ってやる、ともっと燃える。
高校生はそんなにヤワじゃない。
やっている方は教育の一環など微塵も思わず野球に向き合っている。
勝負は反骨精神が原動力だから、応援が多いチームほど負かして諸共落ち込ませてやろう、と思うものだ。
甲子園が選手を育てるとはよく言われることばだ。
テレビのある番組でどこかの監督がこれ言っていたことを紹介し、
この件についてゲスト出演していた荒木に振られた。
荒木はまさにそうだ、と答えた。
荒木が言えば説得力がある。
荒木以上の経験をした人はこの世にいないから、荒木が言うのなら間違いないことになる。
早実は本当に強いと言えるチームではなく、荒木も大投手というわけではなかったのだろう。
それでも甲子園大会が荒木や早実の選手を育て、5期出場という高校野球史に燦然たる足跡を残した。
今年も多くの選手が泣きに泣いた。
毎年の光景を何度も経験しているのは見ている側だけで、その場にいる選手は生涯でこの時だけの体験だ。
この涙は、負けた悔しさによるもの、そして目標に達しなかった無念さ、さらには
高校野球からの退場をつきつけられた現実、そしてもうこの仲間と野球をやることは一生ない、
と宣告された寂しさ。
こんなに大泣きできる時など一生のうちこの時くらいのものだ。
青春をこれに賭けてきたからこそ涙は止まらない。