ピッチャーは球に意志を込める。
打者はバットに意図をゆだねる。
どちらも道具に魂を込めるものだが、ピッチャーは球に直接、自身の肉体の性能を
伝えると言えるだろう。
対して打者は同じくバットに肉体の性能を伝えるものの、さらにそのバットがとらえる
球の行方が結果を左右する。
したがい、どんなにバットにその性能の良さを伝えたとしても球に当たらなければ
何もしないのと変わらない。
打者は打ち込み、素振りを重ねられる。
さらに金属バットに象徴されるバット性能の向上でどんどんはじき返しやすくなっていく。
ピッチャーは質を向上させるには自分を向上させるしかないと言えるだろう。
高校野球はトップレベルのチームを除く多くのチームでピッチャーのレベルの低さ、
コントロールのなさ、といったものが際立つ。
そうなると当然、打高投低となるし、ピッチャーは勝手に自滅する。
そこでこの打高投低を防ぐ方法として採用されているのが、ストライクゾーンを広げるということ。
高低にボール一個から二個、インコースにボール一個、シーンによっては二個、
外はボール二個以上幅を持たせている。
好打者は正規のストライクゾーンで野球ができれば、ヒットの数は段違いに上がる。
好打者ほど打率を伸ばせない。