毎日野球コラム - 野球コラムサイト -

世界一決定戦、最高のゲームだ U-18

オールスターが揃う国際戦は、

チームとして練習の期間が短くとも、味方の力量を把握し、

信頼して高度なプレーができる。

 

あいつならこれくらいやる。

やってくれる。

ギリギリのプレーでも相互に信頼し合い、高度な野球を展開してくれる。

 

見ているこちらとしてはとてもワクワクさせられる。

 

 

日本は、韓国のような似たチームには力が上だろう。

 

というのは、この時期のスター軍団は、日本の方が鍛えられている。

高校野球の鍛え方、システムは他の国にはないだろう。

それだけ、高度な野球をやっている。

 

アメリカとの決勝戦。

 

前回、アメリカ相手にシャットアウトした佐藤を予想通り

ぶつけてきた。

 

佐藤は一度見られた不利より、1度抑えた実績が

アメリカの選手に脅威を与えると、判断したわけだ。

 

たとえ佐藤がつかまっても

日本にはそれ以上のピッチャーが何人も控えている。

代え時が勝負だ。

 

そして、なにより先制点が欲しい。

 

1回、オコエのスーパープレーで助かった。

 

このプレー、

佐藤の投球と相手打者のスイングを見極め、

投球モーションに入ったときから、守備位置を動かしていた。

 

選手のセンスとその時のひらめきは大事にすべきだ。

そのとき、降りてきた勘は、100%その通り現実となる。

 

経験を積んだ選手は、その先の結果が見えるプレーが一瞬、ひらめくことがあるのだ。

ゾーンともいう感覚だ。

 

1,2回と連続三振を奪う佐藤は、

前回同様、振り回すアメリカには、有効だ。

 

対する、相手の16歳左ピッチャーは、

左打者が多い日本は、てこづるだろうと予想できた。

 

鍵は、右打者だが、落差の大きいチェンジアップに

「見たことない」と言わんばかりにバットとボールが

こんなに離れて空を切る。

 

欲しい先制点はアメリカに取られた。

 

2塁にランナーを置いてのピッチャーゴロに

飛び出したランナーを挟もうと焦って暴投してしまった。

 

このプレーは完全にミスだ。

 

篠原も2塁ランナーをどうしても刺したい意識が働き、

止めることより捕ることを選択してしまい大けがに至った。

 

佐藤は投げ方を見ても、器用さに欠ける。

フィールディングはうまくないのだろう。

 

韓国戦で見た中京・上野のフィールディングはうまかった。

センスがある証拠だ。

 

持ち球をコントロールできる上野は安心できる。

あのしっかりした下半身がこれを可能にする。

 

オコエが最初の打席、2度チェンジアップを空振りして

首を振りながら「だめだ。あんなの見たことない。」

といったような表情でベンチの選手と話していた。

 

ところが、2打席目、甘めのチェンジアップをセンター前へ弾き返した。

ナイスバッティングだ。

走塁、守備を含め、底がまだまだ見えない選手だ。

 

しかし、そのあとの牽制飛び出しは完全にボークだ。

国際試合ならではと言え、あれがボークでなければ野球にならない。

 

6回の攻撃で篠原が四球を選び、郡司がスリーバントを失敗した。

 

自分のチームでは4番を打つ郡司に

慣れないバントを失敗することは責められない。

 

それでも、送れなかった郡司はとても悔しがっていた。

自分の役割を果たせなかった悔しさと情けなさと申し訳なさだ。

チームで優勝を目指している表れだ。

 

篠原のホーム憤死も責められない。

 

抜群のスタートだった。

送球がドンぴしゃだからアウトだったが、

少しでも逸れていれば好走塁だった。

少しでもそらしたら突っ込んでやろうと集中していたから

一歩目が速かったのだ。これは紙一重のプレーだ。

 

 

そして篠原の走塁を取り戻そうと

津田が食らいついてライトの前に落とした。

すばらしいバッティングだ。

 

それまでことごとく空振りし、

バットとボールがこんなに離れていたチェンジアップを

意地で拾った。

 

そしてそのあともクリーンヒットが一本もないながら

満塁とつないだ。

 

そして満塁で回ってきた平沢のノースリーからの4球目はボールだったが、

ストライクとされてしまった。

 

その後、この回、最もいい当たりだった平沢の当たりは

抜けたと思ったが、阻まれた。

 

この回の攻撃は、つなぐ、勝つという意識がやっと現実なものとなった回だった。

 

立ち上がりは相手を把握し、1巡すれば、チームの攻撃の方針を固める。

先頭が出塁した6回は勝負の回とチームでつなげる。

9回トータルで相手より1点多くとるべく攻撃する。

野球のおもしろさが凝縮しているすばらしい回だった。

 

やっぱり杉崎の打球は打ち損ないがヒットゾーンに落ちる。

甲子園からこの国際戦になっても健在だ。

好打者の証拠だ。

 

ボークをとってくれないことでオコエが刺されたばかりか、

足が使いづらくなった。

また、平沢の絶好のチャンスにボールをストライクと判定された。

大きな判定ミスが日本を不利にした。

 

それでも

アメリカも、らしい野球をやっていた。

特徴がもろに出ていた。

 

両チーム総力戦のナイスゲームだった。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

傑作コラム

TOP