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源田のはセーフティスクイズ?セーフティバント?

昨日のオーストラリア戦で同点となった周東と源田の俊足コンビによる見事な

得点がセーフティスクイズと表現されている媒体を多く見かける。

スポーツ新聞のサイトにおいてもそのようにしている。

スポーツ新聞のネット媒体ということは、いわば専門家だ。

それでも多くがそう表現している。

代表のホームページではセーフティバントと表現している。

 

スクイズという作戦で、もともと多くあったのは、3塁ランナーがスタートして

打者はバントして1点をとる作戦だ。

この際、打者が大事なのはしっかりと転がすこと。

そのためにはバットにちゃんと当たるのを確認するほど慎重に転がす。

したがい、1塁へのスタートは遅くなり、打者はひとつアウトを献上する。

自分が犠牲になっても、1点を獲ることができるのならばいいというものだ。

だから、ストライクコースに来たら確実に転がすことを使命とされ、

多少のボールでもフライはいかんとされ、もし、バッテリーに外されたら、

飛びついてでもバットに当てなければいけない。

最悪、外されようなら転がらなくともファールにだけはしようとする。

打席から飛び出すほどに投球に食らいつく。

それは、3塁ランナーがスタートしているのでバットに当てなければ

最も大事なランナーを失うからだ。

 

それに対して最近の高校野球ではこのスクイズではなく、セーフティスクイズと

呼ばれるものの方が、多く作戦として用いられる。

セーフティスクイズとは以前のスクイズというのが3塁ランナースタートしてのもので

ギャンブル要素が高いものに対し、セーフティに、つまり安全にランナーを死なせないという

方法で、バッターが転がすのを見てから、あるいはバットに当たるであろうと

感じてから、3塁ランナーがスタートを切るものだ。

これなら外される、あるいはフライになっても3塁ランナーが刺されることはない。

そして外されても3塁ランナーがスタートしていないので打者はバット引っ込めていい。

飛びつく必要がない。

 

転がったのを見てから、あるいはバットに当たりそうだと感じてからランナーはスタートするので

ホームで刺されるリスクは高くなるが、ギャンブル性は低くなると見られており、

3塁ランナーが死なない確率は高いとみなされているのだろう。

 

源田が仕掛けた時は2死からのものだった。

だから自分が死んではいけない。

自分が生きなければ、1点が入らない。ということは、これはセーフティバントなのだ。

源田がヘッドスライディングしたのもそういう意味だ。何が何でもセーフになるための全力疾走だ。

 

セーフティバントの時のセーフティとは打者が無事という意味で使っているのだろうか。

あるいは打者が安全となる、とかセーフになりたい、とかいう意味か。

死なずに1塁に生きるという意味だ。

そしてこれは、日本だけの言い方なのかもしれない。ドラッグバントという言い方もあるから。

それに対してセーフティスクイズの時のセーフティとは3塁ランナーが安全に

という意味だ。

3塁ランナーが死なないために、ギャンブルを排除した安全策という意味。

 

どちらもセーフティという言葉を使っているが、意味は違うはずだ。

打者に対してのものなのか、走者に対してのものなのか。

だから源田のプレーはセーフティバントであるはずが、

3塁ランナーが生還し得点が入ったから、スクイズととらえていいと思われて

両方をくっつけたらセーフティスクイズになっちゃったということだろう。

セーフティバントでもあり、スクイズの形でもあるから、

まとめてセーフティスクイズとしてしまったわけだ。

だが、セーフティバントのセーフティとセーフティスクイズのセーフティの意味は違うはずだ。

 

セーフティスクイズとして一般化されているプレーを固有の作戦の名称とするなら、

セーフティスクイズとは3塁ランナーが転がったのを確認してからスタートを切る

スクイズとして認識できる。

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