組み合わせ抽選会が各地で行われ始め、夏を実感する。
今、ホームランダービートップを走る万波が横浜高校で4番を務めていた2018年の神奈川大会を記した
2018年7月27日のコラムをもう一度。
万波はこの試合、最後は登板までしている。
2018-7-27 横浜高校-星槎国際 石橋VS横浜打線 東海大相模に続き横浜も王者の底力
南神奈川準決勝 横浜-星槎国際。
星槎国際は1年生サウスポー三浦がこの大事な試合に先発を任された。
球威はないがコントロールは良さそうだ。内、外に散らして打たせて取りたい。
替え時はいつか。
大黒柱の石橋へどこでつなぐかが星槎の最大のポイント。
そこで初回に虎の子の3ランで先制できた。
左の4番・松下がセンター左へ、うまくハマって深くまで運んだ。
これは星槎としては願ってもない先制であり、点差だ。
キャッチャーフライを落とすエラーが出てしまった3回に横浜が1点差に迫る。
そして落ちた打球がファールゾーンへ切れる勢いだったが、ホームのアンツーカーで
勢いが緩み、さらにイレギュラーしてフェアゾーンで止まってしまったことも星槎は痛かった。
格上相手に絶対やってはいけないミスをしてしまった。この試合を大きく左右するプレーだ。
4番万波が2点タイムリー。
その裏は、ホームランの4番松下にフォアボールを与えた横浜バッテリー。
そこで、横浜バッテリーはバントをさせて二塁で殺す高度なプレーを見せた。
最初からバントを二塁で殺すつもりで投球し、マウンドを駆け下りてきたように見えた。
さすが名門の落ち着いた、余裕のプレーだ。
その後も送らせる星槎。
バントがファールボールとなり、飛び込んでキャッチャーが捕るファインプレー。
それに対して、ファールの小フライなのに飛び出す、星槎のファーストランナーのミス。
この3回はエラーからタイムリーを許した星槎と高度なプレー+ファインプレーと3人で終わらせた横浜。
アウトにしなければいけない打球をミスした星槎と鍛えられた動きを見せた横浜。
野球の実力の差が見えた攻防だった。
横浜高校は、打席に立つ打者に三塁コーチがコースを指示しているように見えた。
その指示に従い、外には思い切り踏み込み、インコースは時に、打席の中で位置を変えて打ちに行く。
4回、春は4番を打っていたこともある一柳が三浦に代打。
その初球をホームランした。
星槎ベンチは、ピッチャーに打順が回ってきたところに代打で、
石橋へスイッチすることを考えていたか。4回までと決めていたか。3巡目には代えると決めていたか。
そのタイミングでうまく右の長打がある代打がおり、初球をホームラン。
キャッチャーのエラーが痛かったが、ここまでは星槎にとっては理想といっていい展開だ。
5回横浜の攻撃、2番、3番の右打者が連打で一、二塁をつくった。
4番万波が三振のあと、5番の左打者がインコースに詰まらされインフィールドフライ。
左打者が石橋を攻略するのは難しい。
真っ直ぐ、スライダー、チェンジアップとコーナーに投げ分けられるので連打が厳しい。
と思っていたところにチームの主力であるはずの、6番左打者長南に右打者の代打を出してきた。
横浜は勝負所と踏んだ。
そこでなんとダブルスチール。ランナーが自分でいけると判断したのか。
そこで代打の右打者が同点となる2点タイムリー。ダブルスチールが効いた。
勝負所で大技を繰り出す、この辺も鍛えられたチームだ。
後で聞いた話だと、首を一回振ったら牽制は来ないという認識があったそうだ。
それで一気にダブルスチールを決めた。
5回は右打者が3本のヒットで同点とした。
やはり攻略するには右打者だ。
と思ったところに、1年生の左打者が代打でタイムリーを放ち逆転した。
つづく、左打者にもタイムリーで3点差をつけた。
横浜は石橋が戦前から頭にあったはずだ。
左打者が連打は難しいと思われたが、左打者のタイムリー連打だ。
横浜も5回からピッチャーを代えてきた。
プロ大注目の2年生サウスポー・及川登場。将来の日本のエースになる可能性がある器の及川。
及川は、まだまだ意のままにボールを操ることができていない。
むしろ、それだけにまだまだ伸びしろがあると期待できる。
高校生相手ならストライクコースだけに投げていても、そうそう打たれはしない。
これに体がさらにでかくなり、コントロールをつけて遊び球を放るようになったらと思うと
ワクワクする。
今は、そこまでする必要はない。体も変に下半身を太くせず、自然に伸びるのを優先し、
成長がとまったら、下半身強化に移ればいい。
結果的に、ポイントとなりそうだったのは、キャッチャーのエラーとダブルスチール、
そして、長南へ右の代打と思われた。
しかし、石橋を左打者でさえも打った横浜打線を考えると、それらがなくとも
王者の実力でねじ伏せていたかもしれない。
さすがだ。
その横浜の強さがうかがえたのが、バントさせて二塁で刺したプレーに代表されるように
落ち着いてプレーしていたこと。見下ろしている。
そして、もうひとつ。
9回一死二塁で5点差からセンター前ヒットが出た。
ここで1点獲ってもしょうがない星槎としては無理にホームへ還る必要はない。
対して、横浜も1点やってもまったく問題ない。
そこで捕ったセンターは長く持って内野へ返球しないという動きを見せた。
その間にホームへ走らせて、そこを刺してやろうと誘っているかのように見えた。
そうだとしたら細かい野球だ。
高校生なら走りかねない。
対してそのあと、同じような状況でライトへのタイムリーで
万波は点差があるのにキャッチャーへダイレクト返球していた。
点差があるので、全く意味のない返球のはずだが、
深読みすると、わざとキャッチャーが逸らしたフリをしてそこを刺そうとしていたかもしれない。
それならさらに細かい野球だ。
多分、それはないかな。