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プレー解説、技術後継、広がる野球の未来

未来の野球の展開へつなげるべく、この夏、目にしたプレーについて、そのプレーを解説し、技術を深掘りしてみよう。

 

いなべ総合が見せたプレーはおもしろいものだった。
ゴロで抜けるセンター前ヒットでファーストがベースを離れてしまうのだ。
すると打者走者がスルスルとオーバーランを大きくとる。
そこへキャッチャーが1塁ベースカバーに入り、センターからの返球を受けたカットマンが1塁へ送球し、刺そうとするものだ。
どうしてもアウトが欲しい場面での奇策に見えた。

 

 

このプレーを見て、連想するのが球が逸れたときのバックアップによるランナーの刺殺やわざと暴投をしてのバックアップによるランナーの刺殺だ。これは、日ごろから送球、返球に対するバックアップの位置を練習する。これは、走者がどこにいるか、アウトカウント、ゲーム展開、送球の角度まで考えてプレーすると最も効果的だ。バックアップする選手は、送球を受ける選手の背後の位置、距離を計る。距離が近ければランナーが次の塁を狙わない、離れ過ぎると進塁を許す。バックアップは、進塁を許さないとともにそのプレーでランナーを殺すプレーでもある。受ける選手の演技も必要だ。

 

 

そして、今度はそれを逆手にとるかのようなセンスある走塁というものがある。走塁は100%成功して当たり前、失敗は大きなミスであり、チームに落胆をもたらすという特徴がある。バッティングは、失敗しても3割でいいという概念がすりこまれている。しかし、100%成功を義務付けられがちな走塁は、失敗が許されないとなると保守的な行動になる。思い切った走塁が減り、安全なプレーを選択する。きわどいながらも次の塁を狙えば、セーフだったものを安全に、自重したら、これも本来、失敗と言える。ミスと言える。行ってアウトになることも失敗なら、行かずに釘づけも失敗だ。目的はアウトにならないことではなく、ホームを踏むこと、点をとることだからだ。一流の走者は一歩目の判断が優れており、ベースランニングがうまく、あっという間に、ダイヤモンドを駆け抜けてしまうと、相手守備がそのランナーを刺すことをあきらめてしまうことがおきる。そこで、さらにもう一歩優れたランナーは、一歩目を遅らせても間に合うと一瞬で判断を下し、わざとスタートを遅らせ、あるいは相手が刺そうとし、クロスプレーになるように走りながらスピードを緩めたりする。こうすることで、相手のミスを誘い、うしろのランナーをさらに進めることを可能とする。だから、最もうまい走塁とはスタートが良くて、ぎりぎりセーフの走塁ということになる。実は、スタートが遅く、判断がまずい奴と思われる選手がわざとそれをやっていたら、実は好走塁であり、走塁のうまい選手でセンスのある選手ということになる。

 

そして、この走塁に関してうまい、下手以前のレベルの愚行と呼べるプレーを昨日記し、以前から何度も記してきた。大差の試合終盤でわざわざ1点とるためにホームへ突っ込む愚行。各地方大会から甲子園に至るまで、無駄な走塁も相変わらず目にする。東京予選では、試合終盤6点差でランナーが飛び出し、狭殺というプレーがあった。日頃、練習しているのだろうか。何が起きるか、何をすべきか常に予想していれば、こんな走塁はしない。樟南は5点差ある最終回でギリギリのタイミングでもホームまで走った。3塁コーチは止めていた。そして盗塁の必要もまったくない。
ランナー溜めなきゃいけない場面で2人の暴走。甲子園決勝の幕切れも6点差がありながら、パスボールに3塁へ走り刺されて終わる。

 

また、わざと暴投する守備側のトラップ、ギリギリのタイミングにする走塁のトラップのようにワザとやるプレーで割と一般的な技が、ワザとワンバウンドさせてゲッツーにするというもの。東東京では関東一のキャッチャー・佐藤が東亜7回の攻撃一死1塁から送りバント小飛球をゲッツー狙いでわざと落としたが、ショートバウンドで捕球できずゲッツー未完成となった。触れなかったのでファールとはなった。捕手の一瞬の判断としては難しいところ。うまい捕手ほどこういうリスクのあるプレーも選択するが、それを失敗しても積極的なプレーだ。

 

このようなゲッツー狙いにできるフライというのは上に打ちあがる打球でそのプレーを可能にする。内野フライやキャッチャーフライと言うものは、頂点から真下に落ちてくるフライになる。そのため目を切らずに見ながら追っても落下点に着きやすく、そこで時間の余裕が生まれ、プレーの判断ができることになる。だから、ワザと落としてゲッツー狙いなどもできる。一方外野フライは、打者が打った打球が遠くへ向かって飛んでいく。真上から落ちてくるのではなく、遠くへ遠くへ飛んで行こうとする。この外野フライに目を切って追いかける外野手が甲子園に出る選手でもなかなかいない。追いつけると思った打球がその先へ行くことがよくある。だから、見ないで落下点と思われる地点よりさらに、その先まで飛んでいく可能性を頭に入れて、その先を目指して全力疾走して、落ちてくるだろう時間にボールを見つめ直す。これが外野手の技術だ。

 

岡田は、目を切ったがために落としたそうだ。

ロッテ岡田 名手ゆえ素早い判断がミスに

うまい選手が陥るミスとは言え、外野手は経験や慣れが名手にする。捕ることなんて、いわばキャッチボールに過ぎないわけだ。一歩目の判断、目を切れること。球際に強いことが名手だ。

 

 

また、昨日記したことを繰り返すが、外野手の返球が悪い。ランナーが回っていないのに山なりで次の塁へダイレクト返球をしているケースを何度も見た。カットまで返すことをしないと勝負どころのミスにつながる。どんな状況でも内野の頭の高さに投げること、そして1点をあきらめてでも後ろのランナーを先の塁にやらないということが大事。1点にこだわりすぎ、間に合わないホームへ無茶に返球することが多い。刺せる可能性が低いホームはあきらめて、後ろのランナーを進塁させないという冷静なプレーをすることで、一方的な試合を防ぐことにつながる。勝負は一つの塁をやらないということ。一つの塁を許すことが、結果、試合の大差につながる。

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