昨日はフロントドアとバックドア、また狙っていないのに抜け球や逆球が
その効果を発揮するということを記した。
広島をクビになった小早川がヤクルトに拾われたシーズン1年目、
三打席連続ホームランという有名な開幕戦でのひとつは外から巻き込もうとした
スライダーを狙ったものだった。
ヤクルト・野村監督はID野球を掲げ、データを重視する野球で球界に旋風を起こした。
野村監督自身がキャッチャーとしても打者としても立身するに、このデータを重宝したからだ。
データというより確率。
全ての競技は確率の高いと思われるプレーの選択の連続だ。
時に、確率度外視の作戦もその場の経験を生かしたセンスの現れであり、
それは実は確率の選択とも言える。
それは一瞬の判断もそう。
アスリートには一瞬ひらめくプレーの選択が多くある。
こういうひらめきの成功確率は高いものだ。
ゾーンとも表現されるこのセンスを大事に養うことは成功確率を高くする。
そのため野村監督は古田をはじめとするキャッチャーに厳しく接した。
キャッチャーの出す球種に根拠がないことを一番戒めたと聞く。
根拠なく出したサインで打ち取ったとしてもそれは偶然で、次につながらない。
根拠を持ったサインで打たれたのなら、また反省し、そうして確率の高い根拠を
持った配球ができるようになるわけだ。
データということだ。
巨人戦に執念を燃やすヤクルト・野村監督は相手エース斎藤のデータを集め、
そのひとつにスリーボールになると左打者には外からのスライダーでカウントをとってくる
というものを持っていた。
そしてスリーボールになったとき、スライダーにヤマをはった小早川に
外を狙ったスライダーが内に入ってしまった。
こうして小早川は息を吹き返し、ヤクルトはこの年優勝へとつなげた。