以前からプロと高校野球の違いを記してきた。
また、ここでもう一つプロと高校野球の違いをひとつ。
動機が金稼ぎであるプロに対して、
動機が青春の1ページを記録するため
という側面がある高校野球。
使う方(指導者、監督)や使われる方(選手)
さらにチームメートもお互いに気の使い方が違う。
たとえば
プロでは確率が高いプレーをあえて選択しないということがある。
そのひとつが盗塁をしないという選択。
ある場面で盗塁の成功率が5割くらいという感覚があるとする。
打者のヒットの確率が良くて3割とすれば、
走るという選択をとることの方が妥当であるはずだ。
しかし
プロでは後ろの打者の年俸や契約内容=生活に影響するので
走らないと選択することが多くある。
また、
シーズン序盤であったりしたら、
そこで盗塁を成功させて、点をとっても負けてしまえば、
わざわざ走らせなくて良かったという判断になる。
序盤の1敗のために
打者に1球待たせて、ストライクにでもなってしまったら、
打者が不利な状況になってしまいかねないので盗塁をするという選択はしないのだ。
結果、
打たすという選択をとることにより、
打者に責任と納得をもたす戦略になりがちで保守的な戦いとなる。
打たせて負けた場合、非難が一番少ないからだ。
今日負けたらもう終わりというなら盗塁も敢行するだろう。
でもペナントレースは、
盗塁の成功率5割より打つ確率3割を優先する。
高校野球は、
高校生活という限られた二度と戻らない時間の中で行われること。
味方も相手も同世代の人間で行われること。
考えも体も未熟の中で多くの時間をそこへつぎこむこと。
このような境遇は人生の中でこの時しかない。
故に特別な連帯感が生まれるものなのだ。
今、プロで活躍する選手の中にも高校野球のたった1試合のために
つぶれてもいいと賭ける選手が多くいた。
移籍があり、明日は敵かもしれないプロでは
こんな感覚は生まれない。