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大きく悩み、迷い決断したプロへの道を何とくじで決めちゃおうというドラフト

職業選択の自由、プロは金で強くなっていいという当然の理屈を平気で無視しているドラフト。

それが可能なのは、テレビ、新聞、雑誌がヒューマンドラマとして大きく取り上げ、

さらに、後年にも長くネタとなる巨大コンテンツと化したから。

ファンと言う名の傍観者には楽しみなイベントなので、異を唱えられることはない。

むしろ、マスコミのあおりに乗せられ、感動や驚きを貰おうとさえしている。

これにより、ドラフトの存在意義への異論を封殺できる。

 

昨日は、重複高校生が3人でしかも、11球団。そして、その中に吉田がいないのだからおもしろい。

最初の3チームが藤原指名と意外な幕開けであり、

これは12球団高校生指名もあり得るかもと、ドキドキした。

このドキドキドラマは、矛盾をはらみながらもやめられない。

 

そんな金儲けのネタとして重宝するマスコミや

ヒューマンドラマを楽しんじゃおうとする傍観者とは裏腹に、

ドラフトは指名される側の当事者はたまらない。

行きたいところや自分に合うであろう就職先を選べない。

自分の人生をくじに左右される。しかも、他人が引くくじに。

せめて、指名した球団の名が入ったBOXに自分で手を入れ選べば、まだ納得できよう。

指名は今日で、抽選は本人に明日引かせてあげたらいいのに。

その代わり、巨額のマネーという保証がある。

引いて楽しいドラフトくじ、どれにしようかドラフトくじ。

 

11年のドラフトで、巨人を切望していた菅野は、

不義理の日ハムが交渉権を獲得したことで、拒否し、1浪した。

プロの殿様気取りが一人の若者の可能性を狭めておきながら、

翌年、日ハムは一転「1年間のブランクがあることを考えたら、一番力のある投手じゃない」とした。

菅野の身内には人権蹂躙とまで言っていた人もいるくらいだった。

日ハムは大谷指名の際は、栗山をうまく使い、誠意をみせていた。

 

江川や元木や福留も人生を遠回りさせた。

実力がある選手ほど、行きたいチームに引いてもらえる確率が減り、

その実力をファンに提供できなくなるという側面をドラフトはもつ。

野球界にとってもファンにとっても本来、不幸なことだ。

それにもかかわらず、どうなっていたか証明できないことをいいことに、または気づかないまま、

それさえもアクシデントやスキャンダルとして楽しむのがドラフトだ。

 

甲子園が終わって以来、何か月も話題になって、そのたびに何球団競合か、通用するか、二刀流か、

2桁勝てる、20本行ける、外野が薄い、ピッチャーが欲しい、などと

運命のドラフト会議とまで言っておきながら、1年経ったあと、そのことに触れることはない。

触れたとしても扱いは微風の如く、些細なものだ。

彼らのことはもう忘れる。昨年は清宮、中村、安田とあれだけ騒いだのに。

男前だった平沢も大いに騒がれたが、レギュラーに至っていないので忘れられたのでは。

平沢の高校チームメートで甲子園準優勝ピッチャー佐藤は今年クビだ。

 

ドラフトはなくならない。おもしろいドラマを生む巨大コンテンツということが一番の理由だが、

さらに、MLBがこの制度を採用しているから、こんな心強い後ろ盾はない。

野球発祥の地で採用されている制度が違法であるはずがないという。

日本の野球はいつもアメリカの制度の追従だから。

ドラフト、FA制度、2リーグ制、クライマックスシリーズ、リクエスト制度。

野球だけに限らず、アメリカの仕組みには唯々諾々と従うものだ。

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