仰木監督のオリックス就任1年目、のちに仰木マジックと言われる象徴ともいえる
奇策を繰り出した。
その言動で話題を振る舞いていた佐藤を登録名、パンチへ。天賦の野球センスを見せ、
ルーキーイヤーに35年ぶり高卒でウェスタン首位打者になった、
日本人としては超ありふれた名前の鈴木一朗を登録名、イチローにして
春先、注目させた。
それまで、野球界に登録名を名前でカタカナやニックネームとすることはなかったので
斬新さが話題となった。
ちなみに、仰木監督就任が発表された年93年はJリーグ元年だ。
Jリーグにはスター・カズがいる。
カズは愛称がカズだったが、当時から登録名もカズだったか?
この影響があったのだろう。
パンチはそれまでもパンチ佐藤として名が知られていた。イチローは、実績がないので
鈴木と言われても誰それ?イチロー?という感じだった。
当初はパンチが目立ち、パンチのバーターみたいな受け取りだった。
ところが、この年、210安打を記録し、一気にスターへと駆けあがった。
バーターはパンチの方で、実はイチローを売り出すためにパンチを使ったのだ。
野村克也の著書に、オープン戦だったと思うが、グラウンドを躍動するイチローを見て、
あの子はどこの子や、と聞いたらしい。その姿は
〝光っていたなんてもんじゃない、すでに後光が射していた”としている。
愛工大名電と星稜が練習試合をした際、星稜の野球部長が3安打したイチローを
〝あの3番バッターはすごいな。あの子はプロへ行く”と言ったそうだ。
イチローは名門・中京で注目されていたひとつ年上の稲葉を
バッティングセンターで見た時、やれると思ったそうだ。
さらにプロに入り、ドラフト1位のパンチを見て、プロでやれることを確信したそうだ。
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