体操やフィギアスケートといった競技は対戦型のスポーツではない。
つまり、
野球のように相手が投げてきたボールに対してどう打つか。
サッカーのように相手の動きに対してどう動くか。
柔道のように相手の仕掛けに対してどうするか。
これら対戦型のスポーツは相手が強すぎたらなす術がない。
体操やフィギアは対戦型ではなく自分の演技、技をアピールする競技となり
相手がいくらすごい技をしようが、自分のベストを尽くして今までやってきたことを出せばいい。
だから相手の強さに惑わされないスポーツであり、毎日やってきたことをそのまま出せばいいのだ。
なぜ、それなのに失敗するのかとつねづね疑問だった。
プレッシャーや緊張も関係してくるだろうが
それより大きな理由が今回の内村の演技を見て理解した。
分析するに
王者・内村は技術力が高く、つまりレベルが高く持っている技の数々も高いレベルのものだ。
「世界体操前人未到6連覇も 内村航平「リオ五輪」への課題は?」
技のレベルが高く、いくつも技があるため
9割くらいの成功確率の技でも堂々、世界と戦うレベルのものなのだ。
内村が9割成功するような技は他の選手は5割以下の成功確率しかない大技となってしまう。
内村が5割以下の成功確率の技は、他の選手は1割とかそもそもできない技ということになる。
したがい
内村が成功確率5割の技で勝負したら失敗するかもしれないが、成功したら誰も相手にならない。
ただ勝つためにはその必要がなく、9割成功確率の技をしっかり決めれば
相手は成功確率5割の技をやろうとしてしまい、うまくいけば勝てるかもという博打に出ることになるのだ。
内村にとっては難易度の低い演技をして平常心で成功させる。
こうして
対戦型でない体操やフィギアでは本来、自分のベストを尽くせばいいものを無理して失敗が起き、
内村の存在が目立っていくことになる。