今年のWBCのスタメンでは上位5人に左打者が並び、全メンバーを見渡しても
キャッチャー以外の右打者は山田、山川、岡本、牧の4人だけだった。
今夏の甲子園にやってきた高校生のうち前評判の高いスラッガー、九州国際大附・佐倉、
広陵・真鍋、花巻東・佐々木と皆、左打者だ。
少し前にやはり高校野球で強打者とされ、今ではプロでも主軸を打つまでになった清宮、村上、安田も皆、左打者。
数年前、11球団が1位指名で高校生野手を指名するという前代未聞の出来事が起きたときの3人、
根尾、藤原、小園も左打者。
それも今挙げた選手のうち、藤原以外が右投げだ。
高校野球でも左打者の方が多いチームが珍しくなくなり、野手全員左打ちというチームも見かける。
これは右打者が左打者に変えるということがあるわけだ。
内野手はファースト以外は右利きだし、キャッチャーもまず、右利き。
それなのに、左打者が並ぶということは、わざわざ変えていることになる。
そうでなければ、右投げなのに左打者ばかりということにはならず、
必ず左打ちに変えた選手が結構な数、いるはずなのだ。
イチローと松井の影響で左打者が一気に増えた。
大谷の異次元の活躍によりさらにこの傾向に拍車がかかることになる。
そして何より左打者になるもっと大きな理由は一塁に近いということ。
野球最大の理不尽である、右打者不利というルールのせいだ。
そしてもうひとつの理由が相手ピッチャーに右利きが多いということ。
一塁へは右打者より三歩から四歩少なく到達できる。
右ピッチャーが多いことにより、右打者より球筋を見やすい打席数が増えることになる。
右ピッチャーが多いのは仕方ない。
世の中、右利きが多いのだから当然、右ピッチャーが多くなる。
投げるのは利き腕と逆に変更することはできない。
今中は左投げ用のグラブ、つまり右手にグラブをつけて幼少期に投げていたことで
左投げとなり、大投手になった。
このように幼少期から変えたのであればあり得るが、右利きでずっとプレーしてきた選手が
逆の腕で投げることに変更して大成した例はひとつも聞かない。
逆に、打つ方は成人してからでも練習を重ねて両方で打つことが可能になる。
だから左打者が球筋を見やすくなるのはいいだろう。
ところが一塁が左打者に近いのは人が決めたルールだ。
人為だということは、自然の現象ではなく、変えることができる。
右ピッチャーより左ピッチャーを増やすことはできないが、一塁を左打者だけに有利にしないことはできたはずなのだ。
ただ、人が左回りで走ることは自然とされる。
それは心臓が左に寄っているので左側に傾けて走った方がスムーズとされているから。
陸上のトラック競技はすべて左回りだ。
ただでさえ右ピッチャーが多く右打者より左打者の方が有利なのに、一塁まで近いときたら、
そりゃ、左打者だらけになるわけだ。