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もとより何もしないでできる奴などいない 天才の絵空事

大打者はとかく素振りで能力を開花させ、技術を身に着けていったとされる。

王の素振りは有名だし、長嶋は寝床でイメージがわくと、いきなり起きだして振り出したと聞く。

 

落合は振りを繰り返すことで自分ではバットを離すことができないくらいにくっついてしまい、

人に離してもらったことがあるそうだ。

 

これらをさらに本人でなく、他人が証言するから浸透の効果が高くなる。

見ていた人が驚異を含んで賛美を語るから効果は絶大だ。

 

どんな事柄でも他人が評価しだすと信憑性が増し、また印象に深く残る。

語る人が世間から高い評価を得ているならなおさらだ。

あの人が言うのだから、相当すごいことだぞ、となる。

 

日本野球で最も実績のある王が、異質な方法で素振りをする姿を見せ、例を見ない打ち方で

突出した数字をたたき出したから神話のごとくその練習法、つまり素振りは大打者を

つくるに欠かせないやり方だと認識されたのだ。

 

王の素振りによる実績と人の語りにより神話化さ、これこそを努力と呼ぶと受けとめられ

成功には血のにじむようなこの行為が必要とされる。

 

何もしないでの成功は教訓にならないから、努力しないような奴でも実際にはしていた、

というところを探したがる。

 

イチローが彗星のごとく出現したのち、キャンプでの練習姿は逐一メディアで報告されるようになった。

「イチロー6時間の打ち込み」などの文言が紙面の見出しを飾ったものだ。

 

もとより何もしないでできる奴などいない。

つづく。

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