三冠王は2リーグ制以降、7人で11回という少なさ。
戦前の中島を加えても8人だ。
パーフェクト試合達成者が球史において16人。
パーフェクトとは精度においてはこれ以上がなく、難度においても最高という意味のはずが、
それより達成者が少ないというおかしな所業が三冠王。
その難度の最も大きな理由は三冠に数えられるタイトルの方向が一致しないからだ。
方向が一致しないとは三つが同じ努力や同じ目的でやればいいというものではなく、
時には相反する行為でもあるということ。
ホームランを打てば、打点はそれについてくる。
打点を増やそうと、ランナーがいる時、ヒットや犠牲フライを打てばホームランは出ない。
ホームラン打とうとするとヒットの確率が落ちる。
ホームランを狙って打ち、それがスタンドに届かなければヒットで終わる、というものではなく、
ホームランを打とうと思うとバットとボールのアジャストは難しくなり、粗末な打球が生まれることになる。
だから飛距離を持っている打者、それはホームラン打者と言えるのだが、
そういった打者が三冠王になる。
飛距離を持った打者は大きな打球を狙わずともホームランになる可能性があるからだ。
そしてホームランと打点は増えるだけで減りはしない。
ところが打率は落ちることもある。
打率が落ちないことに気を取られていたらホームランが停滞するし、ランナーがいない
状況で打率を気にしていたら打点は伸びない。