外角低めのことを原点とはよく言われる。
ピッチャーの基本とされ、ここへ切れのいい球をコントロールすることが
抑える確率を高めるとされる。
外角低めが抑える確率を高くさせるのは打者から遠くなるためバットに当てづらく、
当たっても低い球なら持ち上げるのに力がいるので、ヒットコースへ飛ばすことが困難とされるから。
ただ、日本から海外へ渡ったピッチャーに言わせると、むしろ外角低めこそ危なく、
腕が伸びるうえ、ポイントを引き付けて打て、パワーのある打者には危険なコース
という新たな認識も生まれている。
インハイという一番ホームランになりかねないところをうまく使った方が
腕の長い打者には有効なのだそうだ。
日本のある統計でストライクゾーンの打率で比較すると、
外角低めより内角高めの方が打率は低いというデータもある。
長打に関してはどうかわからないが、打ち返す難しさとしてはインハイの方が高いと実感できる。
インハイは腕を縮めて身体を回して弾き返さなければいけないとされる。
外角はインハイより判断を遅く対応できる。
引き付けてバットを下ろすだけで芯に当たるので、多くの力を必要とせずとも
前に打ち返すことができるのだ。
外角低めを引っ張るにはパワーを要し極端に難しくなるが、反対方向へ飛ばすのは
さほど難しくはない。
いつもインハイの真っ直ぐを頭に入れて打っている打者は合理的と判断できる。
最も判断を早くしなければいけない、忙しいインハイに照準を合わせ、
そこに来なければ判断はそのあとしても間に合うので、打ち返すことができるという発想だ。
インハイ照準、その他には対応、というバッティングスタイルだ。
そのインハイ、アウトローだが、高校野球では有効な戦略がある。
高校野球には大きな特徴としてストライクゾーンが広いということがあるので、
ここを徹底して利用するのだ。
ピッチングは幅を持たせなければ抑えられないとか、インコースをどこかで突いて意識させなきゃとか、
ボール球で目線を散らしてとか、やることがいかにも多そうに言わる。
これは一番メディアで触れる機会があるプロでそう言われるから、
常識のようにとらえられるだけだ。
狭いトライクゾーンや技術が高度な打者、精緻なコントロールを持つピッチャーという
特性が存在するプロのレベルで言われるだけで、そうでないアマチュアでは当て
はまらない。
高校野球で勝つためには、短い期間でいかにも多そうなそれら全てを習得しなくても勝負になる。
ピッチングの幅をもたせるなど眼中になしでいいとさえ言える。
よく言う、内を使わなきゃ抑えられないなどという常識の罠にはまらず
外の低めを磨くことが有効に見える。
プロで言われる常識など通用しない程、ストライクゾーンが違うからだ。
内はハナからストライクをとろうとすることはない。
見せ球でいい。
ただ、有効なのは左ピッチャーの左打者へのインコース。
左打者が多い最近では、緩い球を見せておいて真っすぐをインコースに投げきることができれば
まず、打ち返すことは無理だ。
ヒットは出ても、連打はないからこれができれば一流投手と言える。
正規のストライクゾーンより左右にボール二個以上、高低にボール二個ほど違うから、
かなりのワイドストライクゾーンだ。
高校野球のピッチャーは投げ損ないでもストライクと言ってもらえて楽なのだから、
それを利用して勝利を目指す戦術を追求したら弱者が強者を食える。
高校野球以降もノンプロやプロを目指すピッチャーはそれだけじゃだめだから、
高みを目指すだろうが、高校野球で勝つことを目指すならこっちが先だ。
ストライクゾーンに来た球をボールという主審は本当にたまにしかない。
逆にボールゾーンをストライクと言う主審は一試合の中で何度もお目にかかる。
外にコントロールできる球を磨けば、ボール球でもストライクと言ってくれるのでバットは届かない。
たとえ届いても、ホームベースからボール二つはずれる球を芯に当てようが、
フェアゾーンには飛びにくい。
たとえ、フェアゾーンに飛んでもヒットゾーンに落ちる可能性はもっと低くなる。
さらにたとえ、ヒットになってもホームランはないから、続けて投げられる。
そして、ボール球をヒットにすることは難しいから連打はない。
と言うことは、失点しない。
高校野球ではボール球をストライクと言ってもらえばいいのだ。