毎日野球コラム - 野球コラムサイト -

ピッチャーの第一条件 再録

高校生で点を獲られないピッチャーで共通することが腕を振って、コントロールができること。

高校生に限らず、良いピッチャーの条件ではあるのが、大学から先のレベルでの野球では

これは当たり前のことなので、特別なことではない。

 

高校生は、素人でもその高校に野球部があればできるので、レベルの格差が激しい。

だから、点を獲られないピッチャーを見ていると、コントロールがいいということが共通の特徴になる。

コントロールとは制球といい、球に意志を伝えられる能力のことだ。


これがピッチャーの第一条件。


ピッチャーは速い球を投げることが仕事ではなく、三振をとることが仕事ではない。

ピッチャーという生業はどういうものか。

 

速い球、三振をとる、勝ち星が多い、これらは結果にすぎず、辞書に翻訳を載せるとしたら

自分の持ち球を意のままに操る技ということになる。

 

ピッチャーの仕事は点をやらないことであり、試合を作ることが仕事になる。

それには腕を振ってコントロールすること。

これが必須条件。

 

藤浪は自分の長い手足を操れず、ボールが意のままにならないので豪球を持っていながら、

低迷し続けた。

 

たとえば、チームでピッチャーを誰にするか、という時、球が速いからピッチャーをやらせる。

それは当然だ。

が、コントロールが悪ければ試合では使えない。

 

速い球をコントロールする練習をして、できるようになったら試合にやっと使えることになる。

そうせず、スピードに磨きをかけ、小さくまとめないという選択をしたとしたなら、

コントロールを度外視した練習に取り組むこともあるだろう。

 

しかし、この場合、試合では使えない。

相手打者は打席に立っているだけで、塁を与えられるので、登板前から負けが決定してしまうのだ。

 

逆に球が遅くとも腕を振ってコントロールできれば、ピッチャーの第一条件をもっていることになるので、

この時点で試合に使えることになる。

 

それでも打たれたり、点を獲られたりするようであれば、それから体を鍛えて球を速くするなり、

変化球を身に着けるなり、スタイルを選択していけばいい。

それは、試合に使いながら同時に鍛えることもできる。

 

海を渡ってからの黒田がそうだった。

パワーピッチャーから動かすスタイルに変わった。

 

代名詞のフロントドアもコントロールできてこそのボールだ。

曲がらなくてもそのままボールになれば打たれないからとそこへ投げ込んでいく。

 

典型のピッチャーがいた。

2017年の夏甲子園で鳴門渦潮の2番手で登板した16番をつけた鈴江だ。

予選からエースが投げてきた同チーム。

試合前も監督はエースが投げ続けることになると思うということだったが、

早い回にノックアウトされ、登板した。

 

170センチ、60キロの細身の体の横手から腕を振ってパームボールを武器に、

真っ直ぐとスライダー、癖球のシュートを駆使していた。

 

パームボールがチェンジアップのように働き、低めに来るので手を出してもみんな内野ゴロになる。

コントロールがいいので速くない真っ直ぐもファールになったり、カウントを稼ぐことができた。

 

スライダーもカウントをとり、初球からすべての球種でストライクを取りに行け、

基本パームを勝負球に、真っ直ぐやスライダーでも打たせて取るという組み立てだった。

こういうピッチングが、可能なのも何よりコントロールできるということが第一条件だからだ。

 

高校野球の一発勝負はこういうピッチャーが効果を発揮する。

高校野球はストライクゾーンが広く、高校生の打者は、ボール球に手を出すから。

 

同大会の神戸国際、左の11番・花村もそうだった。

緩急を使い、ウイニングショットのフォークボールがチェンジアップの効果。

これを生かすための配球とコントロールを考えていた。

 

力を入れる真っ直ぐとそうでない真っ直ぐ、カウントをとる。

ファールを打たす。

 

ピッチングの組み立てというものは、全ての球をコントロールできる、

制球できるということが出発点となるのだ。

何度も対戦すれば、同じようには行かないが、一発勝負はこれがある。

 

自分の持ち球を意のままに操る人、

それはピッチャー。

野球情報メールマガジン

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

傑作コラム

TOP