昨日は外野手の返球を受けるカットマンについて記した。
2019-1-22 外野の返球は基本、カットマンの頭に強い球を放る
外野の間を抜けるような深い当たりに外野手を追うカットマンは右中間ならセカンド、
左中間ならショートが中継に入る。
そこをどんな打球にもショートが追うフォーメーションを採用しているチームがある。
セカンドに肩の弱い選手が入らざるを得ないチームの場合、外野を抜けた打球などに
セカンドをカットマンに使わず、ショートを使う場合があるということ。
プロでもこれを採用する場合があり、
全盛期の松井稼頭央はショートの位置から右中間にも中継に走った。
それは松井の強肩を利してランナーにプレッシャーを与え足止めさせるか、刺すためにするわけだ。
そして松井の脚があるからこそ、セカンドが追うのと変わらない最短時間での中継プレーを完成
させることができる。
この時にショートが見せる本気の返球により、ランナーを刺すプレーには嘆息が漏れるほどの
美しさがある。
例えばホームでのクロスプレーであるならば、ランナーは基本、ホームに視線をやり、全力疾走している。
目で捉えていない外野で起きている中継プレーは遥か彼方の出来事だ。
外野手は打球を拾うことに懸命となり、とにかく短時間で中継へと返すことを目的とする。
それを受けたショートの強肩は腰を沈めたバックホームで凡人が放るボールとは明らかに
勢いと回転の違う、いわゆる伸びる球を見せる。
凡人なら失速するだろうと思われる地点に来ても、球は沈むことなくキャッチャーミットを目指す。
そしてキャッチャーミットへ吸い込まれるその返球が描く球筋の美しさに敵味方関係なく
感心の「オーッ」という、ため息にも似た魅了された声が球場を包むことになる。
それでもランナーは背中で危機を感じ、中継プレーヤーは背中でチャンスを感じている。
それが、ホームではコンマ何秒の差となり、アウトとセーフが分かれる。
打球に対してピッチャーを含む野手全員がそれぞれの仕事に動き、
ランナーはスピードを最大限にベースランニングをする。
ここに野球の最大の醍醐味と言われる所以がある。
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