ピッチャーに勝敗を依存する野球と、エースと呼ばれる選手1人で勝てるわけではないサッカー。
その比較をした2017年10月4日の内容。
2017-10-4 ピッチャーに勝敗を依存する野球とエースと呼ばれる選手1人で勝てるわけではないサッカー 野球はピッチャー
同じプロのシーズンの戦い方でも、野球とサッカーでは戦い方が異なる。
ピッチャーに勝敗を依存する野球は、その試合に登板するピッチャーの調子が悪かったりすると、
崩れた時点で敗けを覚悟する。
プロの戦い方は、たとえ、目の前の試合を落としても次がある。
だから、勝ちに行く時に使うピッチャーとリードを許した時点での、いわゆる敗戦処理というピッチャーの役割があるわけだ。
リードを許してしまって、それでも良いピッチャーを次々に投入しようが、味方が逆転しなければ、
たとえ、その後、完璧に抑えてもゲームを落とし、意味がない。
だったらヘボにやらせて、10点獲られても一緒だったな、となる。
ピッチャーの肩、肘は消耗品であり、負け試合で良いピッチャーを使ってしまってはもったいない。
良いピッチャーでもベストピッチの最高パフォーマンスの発揮は、休みを与えながらでないとできず、
何度も使えないので、リードして確実に勝ちに行くときにつぎ込むという使い方になる。
したがい、リードを許すと、力が劣るピッチャーが投げたり、若手のピッチャーに経験を積ませたり、
調整中のピッチャーが出てきたり、MLBではファンサービスも含め、野手が投げたりする。イチローは投げた。
日本でもデストラーデが、キャッチボール程度の投球をしたことがある。
あわよくば抑えてもらい、逆転のチャンスを待つ戦いをする。
これが、負けたら終わりの1戦勝負やトーナメント戦なら、
どんどん良いピッチャーをつぎ込む戦い方をする。
だから、プロの先発ピッチャーは、ゲームをつくると表現する。
今のところペナントレースでは先発ピッチャーの仕事はゲームをつくることとローテーションを守ることとなっている。
そして、リードを奪った試合はモノにする戦い方をするわけで、先発ピッチャーをどこまで引っ張るか。
中継ぎは、短いイニングをしっかり抑えてくれる力量のあるピッチャーが務め、
ワンポイントは、右バッターに対して右ピッチャー、左バッターに対して左ピッチャーが、
それぞれ、1人ないし2人くらいを抑えてくれる特性がある奴が務める。
そして、クローザーは、リードした試合を確実に締めてくれる力量の高いピッチャーが務める。
野球は、ピッチャーが勝敗を握る特性が、こんな使い方に如実にあらわれている。
それと比較してサッカーの戦い方。
同じプロのシーズンの戦い方でもサッカーは、全勝が可能だ。
ピッチャーに依存する野球と違い、
サッカーは、たとえばエースと呼ばれる選手一人に依存するわけではない。
サッカーでは、エースと呼ばれる選手が守備には参加しないことがよくあり、
逆に守備の選手は攻撃に参加することが少なかったりする。
メッシは守備には全く貢献せず、また働く範囲もゴールに近いポジションのため、
そこまで他の選手にボールを持ってきてもらう事から仕事がはじまる。
かつての中田やジダンのように、パスを供給する選手がエースと呼ばれるチームであっても、
同様に一人では完結できず、最高のパスをして最高の仕事をしたと思われても、
点を獲ってくれる選手が決めてくれないと、意味がない。
このように、大エース一人の仕事だけでは、サッカーは試合が決まらない。
ピッチャーの出来で、その試合の展開、行く末、戦い方、勝敗が決まってしまう野球と違うところだ。
また、サッカーは毎日試合をしないのと、野球のピッチャーの肩、肘のように
一度使うと消耗が激しく休養が必要となるわけでもないので、ケガの離脱などを除いて、
全試合をベストメンバーで戦うことが可能だから、リーグ戦全勝が可能なのだ。
余談だが、そんなサッカーでもマラドーナは異質の存在だった。
当時のサッカーの戦略が今ほど高度でなかったというのもあるのだが、マラドーナは、一人で試合を支配していた。
マラドーナのいるチームは、とりあえずマラドーナにボールを預け、好きにやってもらう。
他の選手は、マラドーナに合わせて動き、マラドーナがパスを出してくれるところに走ったり、
あるいはマラドーナが一人でドリブルするなら、おとりとなって相手の選手を引きつけたり、
ドリブルしている間は、他の選手は邪魔せず、奪われた時の守備を固くしておいたり、
とにかくマラドーナの他はプロレベルの選手がいれば誰でも良いというチーム作りをした。
その証拠として、当時弱小だったナポリがマラドーナを獲得したことで、いきなり優勝するに至った。