プロを頂点とする野球は、その下の社会人野球や大学野球、高校野球から草野球や少年野球と、
レベルが下がるほど脚が有効となる。
プロは守る側の技術が高く、相手の情報を豊富に持っているため、脚という作戦が決まりにくいのだ。
技術と情報に不足する下のレベルの野球では脚の攻撃が決まりやすい。
脚のない選手が続く打線ではヒットを連ねて得点する作戦をとってくる。
ホームランを打ってくれればいいが、その確率は低い。
そしてヒットですら3割の確率の中、ホームランと同様かそれ以上に連打も確率は下がる。
脚のない選手で構成された打線では、ヒット1本でワンベースしか進んで行かない。
各駅停車といわれるやつだ。
1点獲るのに4本のヒットがいるかもしれない。
ここで脚があれば、ノーヒットでも1点が獲れる可能性が出てくる。
プレミア12のオーストラリア戦でヒットの吉田に周東が代走で出てきて、二盗、三盗、
源田との俊足コンビでセーフティ1点の話題になったプレーが典型だ。
プロでもこういうプレーで1点をもぎ取るということをする。
国際戦での情報不足、対応不足が成功の大きな要因なのだ。
バッティングの多くは打てると思っても結局は打ち損じる。
これらのことから、プロの野球を真似てはだめということが言える。
プロの技術や戦術を参考にはするが、それが正しい野球として、
そのまま自分のレベルで実践することは最適ではないどころか、
不当であることばかりだ。
同じ技術や戦術を踏襲してはダメなのだ。
例えばホームラン。
遠くへ飛ばす技術をプロが紹介する機会が増えたが、大前提として、
それを可能にする体力があるのかということの方が大事であり、さらに、
試合の中でホームランが生まれるのは、相手バッテリーが打線の並びを気にしたり、
ランナーを気にしたりという展開があって生まれる。
そしてヒットを打つ3割よりホームランの確率はずっと低いという事実があるのだ。
結果を打ったか、打たないか、で判断しては見誤る。
いいピッチャーになれば打てない。
ホームランは力量の甘いピッチャーか、失投で生まれる。
脚が武器になり、大きな魅力であることはシーズン中で良く見られることだ。
周東は当時、自チームでレギュラーでもないのに代表選出された。
走るためだけに呼ばれたのだ。
終盤、周東が登場するだけで一気に球場が盛り上がった。
周東という切り札を使う時は、ベンチのこの回勝負という意思がはっきりわかるから。
さあ、走ってくれ、と期待を込めて全員が見つめ、その通り走る。
さらに盛り上がる。
巨人の鈴木も終盤の1点が欲しい時、登場し、ファンを喜ばせていた。
相手も走ってくることをわかっている中で盗塁を敢行する。
その、プロの1点を争う凌ぎ合いがファンを興奮させたのだ。
ところで周東は当時、走るためだけに出てくるのに、
なぜ、ヘルメットの耳あてが右についているものをかぶり出てくるのか不思議だった。
鈴木もそうしている場面を数多く見かけた。
キャッチャーからの送球は常に左から来るので、左の耳を保護した方がいいだろうし、
外野からの返球の方が当たる可能性があるからとしても、その送球は威力が劣る。
左打ちだから自分用はそれしかないから、という理由か。