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老兵を見せつけるイチロー

大事なオープニングゲームにイチローを使うのかと先日、記したところ、

温情とファンサービスで先発出場となった。

 

4回で交代はあからさまに思い出づくりの体が出ており、交代の際は

選手達とハグをするなど、最後の花道といった感だ。

帰り際のコメントが少なかったのも、チームがいらないと言っていることを

わかっているからだろう。

あるいはすでに合意されているものと思われる。

交代は最初から知っていたと、イチロー本人が言っているし。

ハグに関しては、アメリカではよくやるけど、日本のファンは戸惑ったろうね。

とは、強がったコメントに受け取れる。

 

イチローの交代はチームの勝利のため、と言うなら最初から使う必要ないだろ、

って話になる。

この試合で、日本のファンの中にマリナーズの勝敗を気にしている人はまず、いない。

イチローの姿が見たい人だけが集まった。

全ての意味でファンサービスの出場であり、イチローはここで本当の意味での

終焉だ。

本当の意味というのは、既にイチローは戦力外をとうに宣告されているわけで、

今でもグラウンドに立つのは、これまでの偉大なる実績に敬意を表して、本人の

意向を尊重しているだけのこと。

 

このオープニングゲームは日本のファンにとって最後の

イチローの姿を見せるイベントだった。

これでやめても数年前にやめても見ている人の感情は変わらなかったろう。

ということは、どんどん衰えていきながらも、イチローの姿を見ることだけに

でも価値があると捉える人が多いともいえる。

それだけイチローに移入している人が多いということで、きっと王もそうだったろう。

そして、もっと前に、ヤンキース時代あたりで、やめても伝説であったし、

温情にしか映らない今やめても同様に伝説になる人だ。

スーパースターというのはそういうことなのだと衰えたイチローで知らされた。

その他の一流選手が長く続けていると、しがみついて、哀れに映るが、

イチローも同様に哀れに映るが、姿を見せるだけでファンが喜ぶスーパースター。

 

イチローは今年フォームを変え、ヘッドがピッチャー方向へ一度傾き、そこから

打ちに行く。これについては以前記した⇒2019-2-28 今更イチローのフォーム変更

イチローが打席に入る前に繰り返す、素振りとも言えないようなスイングに近い形だ。

あのバットの軌道だと、遠回りをしてミートするのは難しくなる。

ただ、開幕戦でのフォームはそれとは違い、昨年と同じように戻った。

フォームを変えようが、戻そうが、それは相変わらず悪く、

あのイチローが直らないのが不思議だ。

 

1打席目は甘い球をミスショット。甘い球なのにセカンドフライにしかできない。

スイングは遅くなっているのか、やはり遠回りしているのか。

自打球を2つも当てているのはそういうことだし、

芯に当てて、引っ張るとフェアゾーンに入らないというのもそういうことだ。

あのイチローの技術では、これまでなかった現象だ。

外の球を自打球なんて記憶にないし、フェアゾーンに入れようと思えば詰まる。

イチローの高い技術の象徴だった、エルボーガードを肘ではなく、

二の腕に近い部分に装着することと、脚へのプロテクターをしないこと。

打てると判断したときにトップからバットが動き出すので、

デッドボールになる球と判断したときは、トップの位置は変わらず、

それゆえ腕は動かない。

だから肘に当たることはなく、

よけながら背中に当てるか二の腕に当たることになる高い技術。

プロテクターに関しては、足に当たるような、そんなところには打たないという

自信の技術。

できるだけ引きつけ、右方向に飛ぶ打球はフィールドに入れる打球を打つ。

ファールにするときは、かならず三塁方向やレフトの方向。という技術だ。

 

プレマッチの巨人戦から、この開幕戦と1球1球にすごく必死にやっている。

あのイチローがヒットを打つことにもがき、しがみつき、

ヒットを欲しがり余裕がない。

 

ファンやメディアや解説者から

ヒットを見たいなどと情けをかけられ、切望されるのは奇跡の男・イチローにとっては

惨めであり、そんなのイチローの姿でない。

イチローはイチローたる輝きを発してこそイチローだ。

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