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今日からU-18国際戦 今年はアメリカとはやらない。

今日からU-18の国際戦が始まる。

昨年の国際戦は、決勝でアメリカに敗れ準優勝という結果だった。

今年はアジア選手権ということでアメリカにリベンジする機会はない。

 

早実では、3番を打ち甲子園を沸かせた清宮が全日本では4番に座った。

そして、のちにドラフト1位指名される、

東海大相模・小笠原、県岐商・高橋、関東一・オコエ、仙台育英・平沢らが出場した。

アメリカ戦は、

日本の高校野球ではあまり見たことのない長身のピッチャーが投げおろす速くて動く球に

ついていくことができず、戸惑っているようだった。

それでも、寄せ集めの一流高校生たちが団結して世界一を獲るという意識が見え、

素晴らしい試合を見せてくれた。

 

この大会を通じて、調子が上がらなかった清宮は1年生でありながら4番という栄に浴しながら

満足できないバッティングに責任を感じ、泣いた。

そして、アメリカへのリベンジを誓っていた。

しかし、今年の日本代表には東京大会が始まる時期ということも影響し、選出されていない。

 

今年の国際戦を前に、昨年の対アメリカ決勝戦の素晴らしい日本代表の戦いを振り返り、

そこで見られた技術、戦術を参考に考察してみる。

 

日本代表は、寄せ集めとはいえ、オールスターが揃うことになるので

チームとして練習の期間が短くとも、味方の力量を把握し、信頼して高度なプレーができる。

あいつならこれくらいやる。やってくれる。

ギリギリのプレーでも相互に信頼し合い、高度な野球を展開できるのだ。

 

決勝戦の前に一度ぶつかっていたアメリカ相手には

前回、シャットアウトした仙台育英・佐藤を予想通りぶつけていった。

佐藤は一度見られた不利より、1度抑えた実績がアメリカの選手に脅威を与えると、判断したわけだ。

ブンブン振ってくるアメリカの野球にはフォークがある佐藤が適任との判断だ。

たとえ佐藤がつかまっても、日本にはそれ以上のピッチャーが何人も控えている。

代え時が勝負となる。

そして、なにより先制点が欲しい。

 

1回、オコエのスーパープレー。

佐藤の投球と相手打者のスイングを見極め、投球モーションに入ったときから、守備位置を動かした。

選手のセンスとその時のひらめきは大事にすべきもの。

そのとき、降りてきた勘は、100%その通り現実となるのだ。

経験を積んだ選手は、その先の結果が見えるプレーが一瞬、ひらめくことがある。

ゾーンともいう感覚のことだ。

 

1,2回と連続三振を奪う佐藤は前回同様、振り回すアメリカには有効だった。

対する、相手の16歳左ピッチャーは左打者が多い日本は、てこづるだろうと予想できた。

鍵は右打者になるが、落差の大きいチェンジアップに

「見たことない」と言わんばかりにバットとボールがこんなに離れて空を切る。

 

欲しい先制点はアメリカに取られてしまった。

2塁にランナーを置いてのピッチャーゴロに飛び出したランナーを挟もうと焦って暴投してしまった。

このプレーは完全にミスだった。

敦賀気比・篠原も2塁ランナーをどうしても刺したい意識が働き、

止めることより捕ることを選択してしまい大けがに至ってしまった。

一発勝負の小、中、高校生はどうしてもアウトがほしいとかどうしても先の塁がほしいと

焦って失敗することがある。

大きな舞台を経験していないことや1度負けてしまえば終わりという意識がこの焦りを生む。

そのため、日ごろから戦況によってどういうプレーをすべきかを落とし込み、

そのときの焦りは禁物であり、日ごろのプレーをすることを意識させたいもの。

この篠原のプレーは、自分の技術からすればこなせるプレーと一瞬で判断したので

佐藤の暴投はミスだが、篠原のプレーはミスとは言えない。

微妙なズレが、失敗になってしまったのだ。

佐藤は投げ方を見ても、器用さに欠ける。フィールディングはうまくないのだろう。

 

韓国戦で見た中京・上野のフィールディングはうまく、センスがある証拠。

持ち球をコントロールできる上野は安心できる。

あのしっかりした下半身がこれを可能にしている。

 

オコエが最初の打席、2度チェンジアップを空振りして

首を振りながら「だめだ。あんなの見たことない。」といったような表情でベンチの選手と話していた。

ところが、2打席目、甘めのチェンジアップをセンター前へ弾き返した。ナイスバッティング。

走塁、守備を含め、底がまだまだ見えない選手と感じたものだ。

しかし、牽制飛び出しは完全にボークだった。

国際試合ならではと言え、あれがボークでなければ野球にならない。

 

6回の攻撃で篠原が四球を選び、郡司がスリーバントを失敗した。

自分のチームでは4番を打つ仙台育英・郡司に慣れないバントを失敗することは責められない。

それでも、送れなかった郡司はとても悔しがっていた。

自分の役割を果たせなかった悔しさと情けなさと申し訳なさからだ。

チームで優勝を目指している表れ。

篠原のホーム憤死も責められない。抜群のスタートだった。

送球がドンぴしゃだからアウトとなったが、ちょっと高かったり、横に行っていたら好走塁だった。

少しでもキャッチャーが逸らしたら突っ込んでやろうと集中していたから一歩目が速かったのだ。

これは紙一重のプレー。

 

そして篠原の走塁を取り戻そうと

浦和学院・津田が食らいついてライトの前に落とした。すばらしいバッティングだった。

それまでことごとく空振りし、バットとボールがこんなに離れていたチェンジアップを意地で拾った。

 

そして満塁で回ってきた平沢のノースリーからの4球目はボールだったが、ストライクとされた。

 

その後、この回、最もいい当たりだった平沢の当たりは抜けたと思われたが、阻まれた。

 

この回の攻撃は、つなぐ、勝つという意識がやっと現実なものとなった回だった。

立ち上がりは相手を把握し、1巡すればチームの攻撃の方針を固めるのだ。

先頭が出塁した6回は勝負の回とチームでつなげ、なにがなんでも得点に結びつける意識をもつ。

9回トータルで相手より1点多くとる、1回多くホームベースを踏むべく攻撃するのだ。

野球のおもしろさが凝縮しているすばらしい回。

 

 

東海大相模・杉崎の打球は打ち損ないがヒットゾーンに落ちる。

甲子園からこの国際戦になってもこの打球は健在。好打者の証拠と言えよう。

 

ボークをとってくれないことでオコエが刺されたばかりか、足が使いづらくなった。

また、平沢の絶好のチャンスにボールをストライクと判定されてしまった。

大きな判定ミスが日本を不利にした。

それでも、アメリカも、らしい野球をやっていた。特徴がもろに出ていた。

両チーム総力戦のナイスゲームだった。

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