昨日の横浜スタジアムで大番狂わせが起きた。
あの横浜高校が県立高校に敗けてしまった。
ただ敗けたわけではない。
終盤の逆転負けという横綱には通常あり得ない展開だった。
横浜高校としては神奈川の相手は東海大相模くらいしか見ていなかっただろうし、
全国制覇を見ていたから、この準々決勝など通過点にしか過ぎず、
敗けるわけがなかった。
投手起用も横綱がいつもやるように、余裕をもって、誰が投げても勝てると舐めていたはずだ。
舐めていたことがいけなくはない。
10回やって1回も負けないだろうと思われる相手に、この起用は普通の事であるし、
誰が投げても、他所の高校ならエース級なのだから当然だ。
それでも、負けてしまえば監督の見誤りということになる。
しかも序盤から得点し、5点差をつけて試合を優位に運んでいたので
もうこの時点で横浜高校の選手、監督、関係者の誰もが勝ったと思った。
野球でジャイアントキリングが起きるのは、一にも二にもピッチャーによる。
県立相模原の天池はいいピッチャーだ。
この神奈川大会で数試合観ていたが、おもしろいピッチャーだと注目していた。
細い体で、見た目はいかにも公立高校の選手という感じだが、右サイドからの
ボールは打ちにくい。
真っ直ぐなのかシュートさせているのか、右打者へ食い込んでくるこの球に右打者は詰まる。
反面、右サイドハンドは左打者からは見やすくなる。
シュートして真ん中からやや外に行く球は、高めに行くと
横浜高校にいる左の強打者には長打を浴びてしまう。
スライダーもカウントがとれ、沈むシュートで内野ゴロがとれる。
細身のサイドハンドにしてはスピードもある。
横浜高校に天池が入っていたとしても、今の力量なら、十分登板させるほどの
ピッチャーだ。
ただ、体が細いので名門校に入ったら、埋もれていたかもしれない。
そういう意味では、県立の強豪校への入学は良かっただろう。
この先も、体をでかくして、もっといいピッチャーになれるので是非野球を続けてほしい。
相模原の選手と横浜高校の選手では体格が全然違う。
全国から集まる横浜の選手はみな、でかく、立派な体格だ。
相模原は公立高校らしく、小さく細い。
相模原の選手の誰も横浜高校でレギュラーにはなれない。
相模原の4番打者はシニアでレギュラーでなかったと紹介されていたように思う。
中学時代、レギュラーでない選手が4番を務める県立高校と全国からの有能な選手
だけで構成される名門校。
天池だけが横浜高校で出番があるくらいのものだ。
それでも試合となれば、こういうことが起きる。
野球はピッチャーが勝敗の100%を握っているからだ。
県相にはデータ班がいるそうだ。
公立では、専門を置くことは難しいだろうから、部員がやっているのだろう。
そして監督が、過去に県立高校を強くした実績があり、神奈川で一目置かれる
指導者だそうだ。故に情報の重要性をよくわかっているのだろう。
佐々木とともにBIG4の1人、及川が高校野球から姿を消すことになった。
及川は1年生の時から、将来を嘱望される大物だった。
3年生になる頃には、高校生では全く打てないようなピッチャーになるのではないか
と楽しみにしていたが、期待よりは、成長をしているようにはあまり見えない。
結構、打たれてきているのだ。
1年生の頃とそう変わっていないように見える。
プロに行くことは間違いないだろうから、今後どうなっていくだろう。
神奈川は横浜か横浜に勝ったチームが甲子園に出る。
しかし、相模原にあと2つは厳しい。
だから、このジンクスも今年はあてはまりそうもない。
次戦の東海大相模は昨夏、相模原に追い詰められた経験がある。
そして、横浜を倒したことで、警戒感をさらに強める。
全力で天池対策にかかってくるし、本気で相模原に対するはずだ。
本気の横綱に勝てるか。天池の疲労も気になる。
格下チームが勝つには、先にリードを奪って、ピッチャーが凌ぐほかないはずなのだが、
横浜高校相手に終盤で5点差をひっくり返すなど、
その試合展開を含めて、高校野球史上最大の金星と言える。
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