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責められるべきは仕組み

今回のワールドカップ初戦で

おおいに話題になった西村主審の判定。

 

私の目にはブラジルが奪ったPKの際、

ファウル判定は厳しい。

そして、クロアチアの得点機に、キーパーチャージの判定は厳しい。

 

どちらもクロアチアには厳しい判定だった。

 

これを日本の試合でやられていたら

「それはないだろう」とか「誤審だ」とか言って

ものすごい反響になっていたはず。

 

WBCのアメリカ戦で

西岡のタッチアップは離塁が早いと判定して得点が認められず、

サヨナラ負けした時は、

王監督が会見を開き、

「野球が生まれた国、アメリカでこのようなことが起きてはいけないのだ」

と世界に影響力がある王監督が敗戦の悔しさ以上に

真の野球への提言として、あえて苦言を呈したものだ。

 

この場で野球の審判についても何度も話題にしてきた。

これは、サッカーでも他のスポーツでも共通するテーマ。

 

サッカーは、この初戦以降も判定に対して、

正当か否か話題になることが多い。

 

あれだけ広いグラウンドで見えないように反則を繰り出し、

また、やられていないのにやられたように見せる巧みさを持ちあわせ、

これを一人で判定し、一人で責任を追うのは無理であると同時に、

ハナから非合理なのだ。

 

責められるべきは判定でも審判でもなく仕組みである。

 

サッカーなんかは主審以外もゴールラインの外に審判並べるとか

対応できる気がする。

 

複数で判断するということだ。

相撲の、「ものいい」の仕組みと似てくると思われる。

野球でも大リーグではチャレンジという録画再生判定が導入され、

日本でもホームラン判定の際は、同様の判定が認められ、

サッカーも今回からゴールラインを割ったかをテクノロジーで判定している。

 

テクノロジーによる判定。

 

日本では審判がミスジャッジするたびに

「もうビデオ導入しろ」

という意見が大勢を占め、再生判定することが神とされてきた。

 

私は生身の人間である審判に判定の責任をもたせる仕組みは、

是正の必要があるとは思っていたが、

テクノロジー判定が神とは到底思っていなかった。

 

ビデオもひとつの仕組みとして検討、導入をすることは

是正につながり良いとは思うが、これを絶対としてはいけない。

 

何がベストかは永久のテーマかもしれない。

 

現行の

一人の人間の判断にゆだねる仕組みは問題があることは間違いない。

 

試合の進行に水を差すことを考えれば、

審判の判定に任せる事が良く、審判に任せれば誤審が絶えることはない。

 

判定には人間らしさなど一切必要なく、

無味乾燥で感情の入る余地のない正確さのみ求められる。

 

ひとつの判定の違いが試合の展開を左右して、作戦も変わってくる。

それが勝敗にも結び付くのだ。

 

その一瞬のために準備し、賭けている選手としては

正確な判定のみが是である。

 

相撲の「ものいい」という制度はとてもいい制度だと思う。

 

ただ相撲は一番、一番が短く、終わってから審判団で振り返り、

行司差し違えや取り直しが可能だが、

野球にはうまく取り入れられないものだろうか。

 

試合の進行に水を差すことが最も懸念される。

ただビデオ判定というのはこれに近いものではある。

 

四方に居座る親方衆のうち、行司の判定に意見がある場合、

文字通り

「ものいい」

が発動される。

 

そして土俵の上でこの審判団が協議し、

最終的な判断がなされるわけだが、

この時の判断はスロー再生で判断するものと相違ないことがほとんどだ。

 

複数の角度から複数のプロの目で見ると間違いが起こりにくい

ということだ。

「ものいい」の際も、テクノロジーによる見方を通信でやりとり

しているそうだが。

 

野球も審判の数を増やしたり、

グランド外の見やすいところにプロを配置し、

判断を下せばこれと同じことが可能となりそうだ。

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