イチローが日本球界復帰の意思を示せば、戦力としてでなく、
日本野球最高傑作を抱えこむことによる球団の話題性、イメージアップは大きかった。
商品価値は計り知れない。それは、選手でなくなった今も同様だ。
昨年、まず、名乗りを上げずにはいられなかったのがオリックス。
今に至るまでその関係性を繋げようと努力してきたはずだ。
イチローも育ててもらった環境と神戸に思い入れがあるから、
オリックスの申し出には無下にできない。
オリックスはポスティングを容認した時から、
イチローの何らかの版権は手放さなかったのかもしれない。
ただ、本拠地を大阪に移したことが気持ちを冷めさせた。
それから、中日は地元だけにファンが歓迎する。球団にもたらす利益は大きい。
それから、資金潤沢なソフトバンクは将来を考えてもイチローに投資することに損がない。
ただ、どの球団も利益にはなるものの、扱いには苦慮するはずだった。
このスーパースターをただ置いておくというわけにはいかず、
しかし老兵を率先して使うにも躊躇する。
イチローがいるだけで、他の選手の気の使いようもマイナスに働く要素が大きい。
その反面、イチローの生のプレーを知る選手がほとんどいなくなった日本球界では
今の選手たちは敵味方関係なく、
イチローと一緒にフィールドに立ったということは財産になる。
日本でのイチローをもう一度見たい気持ちは強かった。
ただ、日本復帰をするならニューヨークに行ったあたりまでだったろう。
ヤンキース移籍が2012年だから39歳になる年ということとなる。
その時に決断していれば、おもしろかった。
すると、その後のMLB3000本安打は達成されなかったことになる。
そして、世界最多安打記録も達成されなかったかもしれなく、達成しても
日本でとなるので、世界中で評価は違ったものになった。
今となっては、日本選手の後塵を拝すイチローを見るよりは良かったろう。
最も残念なのは
日本代表にイチローと松井が名を連ねてほしいという
同世代の人間の最後で最大の願いが届かなかったこと。
はかない夢と化した。
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