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大観する超一流選手

Hiroshima Carp pitcher Hiroki Kuroda (L) is presented with a wreath of flowers by teammate Takahiro Arai in commemoration of his 200th win of his career in Japan and Major League Baseball, following the team's 7-0 victory over the Hanshin Tigers in Hiroshima on July 23, 2016. (Photo by Kyodo News via Getty Images)

松坂が引退、そしてこのオリンピックではスーパーアスリート内村が区切りをつける発言をしている。

勝負の世界で1人が勝ち続けるということはあり得ない。

内村や室伏、イチローといった抜きんでた能力を持つアスリートも一線から身を引く時が必ずくる。

だから、どこかで辞める決断をする。身の引きどころを探る。

 

黒田は2014年、199イニングを投げローテーションを守った。

ヤンキースは再契約を提示し、他球団からも40歳の投手としては最高年俸となる条件提示があった。

しかし、それだけで現役続行とは判断できないと黒田は言ってのけた。

この考え方は一流のプロならではだった。

つまり自分ではまだやりたい。野球が好きだし、来てくれというところがあるから行くし、やる。

そういうものじゃないということなのだ。

40歳を迎えた年齢でもう一度世界のトップで同じかそれ以上の仕事ができるのか。

一年間自分のモチベーションと体力を維持させるだけの状況に持っていけるのか。

自分がいることで若い選手の将来の妨げにはなっていないか。

勝負の世界であり、エンターテインメントの世界においては、こういう見方が大事になってくるのだ。

 

生活のため、好きだからということを超越して全体における自分のポジションを冷静に判断することが、

その組織を、その世界を良くさせることなのだ。

高いポジションに就いた人ほど、大観する必要がある。

そしてそのシーズンが充実していればいるほど来季にもう一度リセットするのは大変な作業だ。

 

勝負の世界に身を置くわけだから、明日の自分は計り知れない。

我々、庶民が感じる以上に大変なはずだ。

翌季、ヤンキースとなればもう一度1年間戦う準備をしなければいけない。

他球団となればさらに環境にあわせることから始まり、チームメートを知ること、

他球団の選手をまた把握すること、と、さらに大変だ。

やりたいだけで今の地位に固執する人は、冷静に自分の立場と周りの状況を判断する必要があるということ。

ちやほやされて長くしがみつき、固執している人は、今の状況を客観視できているか。

 

黒田の出した決断は広島復帰だった。

この決断にも大いに敬意を払いたい。

大リーグのつわもの相手に戦ってきて、変貌を遂げたピッチングが日本でどのような反応、成果をもたらすのか。

これこそが手本、見本というものだ。そして日本野球への貢献であり、発展へつながる。

長くやることが、手本になるということは勝負の世界では絶対にありえない。

輝く瞬間は一瞬だ。

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