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人生を大きく左右するドラフト まさに運命

ドラフトが今週に迫った。

ドラフトは、それ自体がひとつの商品となり、ファンサービスと化した。

ドラフトは戦力均等、年俸高騰阻止というプロ側の都合のためにはじまった制度だが、

FA制度が出来、海外も視野に入る現代で果たして必要な制度かと疑問に思う。

そしてプロは金で強くなってもいい。

プロだから。

ところが金をかければ必ず勝つわけではないのがスポーツ。

そして評価が低くとも、なにくそとエリートを負かすことが珍しくないこともスポーツの魅力。

古田は高校時代無名で大学でもドラフトにかからなかった。

上原も高校時代は控えピッチャー。

大学も浪人して普通に受験し、教員になる目的だった。

黒田、沢村も高校時代は控え。

新井はどうしてもプロになりたく、縁故を頼り、広島6位にねじりこんだ。

佐野は大卒ながらドラフト9位。

佐藤も高校時代は無名の進学校で3年の夏は地方大会の初戦で敗れているそう。

かつて巨人が金にものを言わせFAで買いあさりながら勝てなかったように、

グラウンド上には9人しか出場できないという制約がある野球というスポーツでは

全体の戦力で優劣をはかるわけではないし、勝敗はピッチャー次第という特徴があるからだ。

また、高額の選手も次の年には例年どおりの成績を残せるとは限らず、力は衰え、

ケガもあるからだ。

何より、本来、自由な職業先が選択できないドラフトはもっと異が唱えられていいはずだ。

行きたいところや自分に合うであろう職場を選べない。

自分の人生をくじに左右される。

しかも、他人が引くくじに。

せめて指名した球団の名が入ったBOXに自分で手を入れ選べば、まだ納得できそうに思われる。

指名と抽選は別日で、本人に次の日にでも引かせてあげたらいいのに。

江川のドラフトも、今になって冷静に考えれば、職業選択の自由、互いの引き合い、を無視した

制度が生み出した悲劇だった。

巨人ばかりを見て育った憧れからそこへ行きたいという10代の若者の当たり前の希望だったのだろうし、

そして巨人からもラブコールがあるのだから、くじなどに決められたくはないと思うのは当然のもの。

ところが江川が大物過ぎたので裏技を使い、マスコミの取り上げ方のせいで、一気に悪者になってしまった。

ドラフトがなければヒールにはならなかったわけだ。

江川の時は巨人一徹を貫かなきゃいけないところに追い込まれた感がある。

あれほどの実力者でなく、あれほどの騒ぎでなければ、どこかで妥協して他の球団に入ったと思われる。

周囲が大騒ぎするから、意地になったのだ。

それで高卒で阪急を断り、大卒でクラウンを断り、浪人で阪神を断り、

野球に集中するための環境はベストには働かなかっただろう。

高校時代が一番すごかったとはよく聞く話だ。

高卒でプロ入りしていれば、もっともっと活躍しただろう。

1人で3度、1位指名されたのは後にも先にも江川だけだ。

実力豊かな若者を救うに苦悩して編み出したのが巨人のウルトラCだったとも見ることができる。

ドラフトという矛盾に満ちた制度に対してなら、その虚をついた巨人の行動だって

卑怯や狡猾とは言い切れない。

江川の才能を守ってやるためには、それくらいやっても良かったとも言えるのだ。

責められるべきは江川でも、巨人でもなく、むしろこの制度を善とした連盟とマスコミだし、

それを受け入れた観ている者達だし、企業努力をしなかった他の球団だという見方ができるわけだ。

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