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結果論と展開 都合のいい表現「流れ」

‟流れ”について考察する木曜連載4回目。

2023-11-9 流れと言ってしまえば片付く 都合のいい表現「流れ」

2023-11-16 流れがあるのなら試合の行方がわかるはず 都合のいい表現「流れ」

2023-11-23 勝負は実力によって決まる 都合のいい表現「流れ

 

結果から見て、表現することが多い‟流れ”。

結果からよく耳にすることでは他に「振り切ったからいいところに落ちました」

止めたバットに当たって、良い所に落ちるケースもあるのに、振り切ったことが良い結果をもたらした、と言う。

振り切ってしまったから野手が位置する所まで飛んで行って凡打になるケースもある。

結局、結果論を解説と称して、したり顔で表現する。

 

‟流れ”に関してはゲームの中で目立ったプレーについて

「あのプレーがなければ勝敗は分からなかった」などと言うケースがある。

いかにもそのプレーが勝敗を決めたかのようだ。

しかし、試合というものは一球、一球の積み重ね、いや、球を打者に投じなくとも

点が入ったり、アウトになったりすることもあるのでインプレ―の一挙手一投足の積み重ねと言える。

 

だから一つのプレーだけが勝敗を決めるということはない。

それは目立つプレーであったり、印象に残るプレーだったりするからであるだけで

全てのプレーが影響し、それは実力のことであり、そしてそれこそが‟流れ”だ。

 

一人の打者から10個のアウトを稼げるキャンペーンはないし、一本のホームランで10点も入らない。

勝敗は一つ一つのプレーの積み重ねで決まる。

 

その中で点差がつけば偏った攻撃しか選択できなくなるし、終盤になれば、持てる戦力を

どんどん使うという戦略になる。

こうして展開されていくことを‟流れ”というのだろう。

 

ある秋の高校野球神奈川大会決勝というプライドが激突する試合で

 セーフのタイミングなのに外野手が無理にバックホームして、後ろの走者の進塁を許した。

間に合わないことがわかっている場面で刺しに行くことが致命傷となる。

 

1点をあきらめてでも後ろのランナーを先の塁にやらないということが大事であり、

この時は序盤だったので、勝負に行くより点差を離されないことが大事だった。

1点を惜しむより、1点やってでも追加点をやらないようにすれば、後半に勝負を持ち込める。

どんな状況でも内野の頭の高さに投げ、カットまで返すことをしないと勝負どころのミスにつながる。

一方的な試合へと導きかねず、追い上げることができないほど序盤で試合が決まってしまいかねない。

 

無茶な返球が許されるのはサヨナラの場面くらいのものだ。

こういったものが展開であり、ゲームメイクとも言え、

勝つために、その瞬間に必要なプレーを選択し、試合をつくっていく。

 

そしてこの試合の終盤では一死二、三塁でショートゴロの間に同点となった。

この時、先ほどの無茶な外野手とは反対のチームが選択したのは外野に頭は越されるな、だった。

大きく監督がジェスチャーで指示していた。

内野は中間シフト。同点はいいから大量失点を避ける作戦をとったわけだ。

 

真正面から勝負を挑んでも勝てる感触があったから同点に追いつかれても

もう一度、勝ち越せると思ったのだろう。この作戦はセオリーだ。

 

ここからがよーいドンの勝負となった。

これも、試合の‟展開”から選択し、そしてその‟展開”により、得点差が1だったり2だったり、3になったりする。

 

そして3点差の余裕を得ると、プロ注目打者の打席にベンチの外野への指示は

先ほどと同じく頭を越されるな。前に落ちるのは仕方ないというもの。

すると三塁横を破るレフト前ヒット、一塁ランナーは、スタートを切っており、

深い外野ゆえに三塁は悠々セーフ。

無死一、三塁と絶好の場面で今はプロでも日本代表になった万波は内野フライ。

つづく5番、6番と凡退。

 

この時、5番・福永はボール球をストライクとされ三振。

6番・山崎は二球目のボール球をストライクとされ、追い込まれたため

ボール球に手を出しての凡退だった。

一球のストライク、ボールの判定が勝敗に影響を与えてしまう。

この判定というのも‟展開”を左右する。

この時は、判定によってバッティングを変える必要に迫られてしまった。

 

この試合は、両チームとも関東大会進出を決めている状況での決勝戦だった。

だから、両エースが先発回避した。

しかし、7回には4-4となり、残り少ないイニング数で勝ちに行こうと、

結局両チームがエースをマウンドへあげ、さあここから本当の勝負と、筋書きがあったかのような

神奈川決勝の野球ドラマとなった。両監督が持てる駒をうまく使い、おもしろいドラマを演出した。

これも、試合の‟展開”によりおもしろいドラマとなったのだ。

点差が離れていれば、エースを登板させず、

敗けてもいいやという戦い方になっていたかもしれない。

 

この野球の‟展開”は、

その状況によりどのようなプレーを選択するかということが大きな要素となる。

その選択による結果を受け、また次の選択も変わってくる。

そして秋の決勝だったから両チームがエース回避となったことで試合自体も別物となった。

こうして展開されることが‟流れ”と言ってしまう正体のひとつ。

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