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黒田の最後の仕事。日本シリーズ第3戦

北海道に戻って、日ハムが意地を見せた。

 

黒田はコントロールが良かった。

 

ツーシーム、カットボールを有効に使い、 外からのスライダーでカウントを稼ぎ、

カウントをとるフォーク、ストライクからボールになるフォークで的を絞らせない。

ストレートは外角低めにしか投げない、それも2球は続けないことで緩急がつけられ、

ファールかフライにさせようとする球として使っていた。

 

4回、先頭の大谷に真ん中に入ったカット系スライダーで長打を許し、

2死3塁となってレアードを迎えた場面では、ここでも球を動かし、打ち気のレアードからファールでカウントを稼ぐ。

フルカウントとなって、歩かせてもいい場面で

外にカットボールでボールになってもいいと思って投じた球が高めに浮いて危なかったが、

それまでの球の出し入れが打者に効いているのでライトフライとミスショットさせた。

 

黒田の持ち味が出て、クオリティスタートを守ってみせた。

最後の最後まで黒田が恬淡と自分の仕事に集中してチームの勝利に貢献すべく投球をした。

プロフェッショナルのピッチングだった。

 

一方、有原は、コントロールに窮しており、球威も42歳の黒田よりも劣っているように見えた。

そして、黒田に抑えられる日ハムは、どうも工夫や脅威が感じられない。

広島もいい野球をやり、うまく点をとって勝ってきているが、圧倒しているわけではない。

 

たとえば、1戦目のエルドレッドがスリーボールから手を出すミス。

2戦目の菊池の走塁や守備でのミス。

石原は1戦目でスクイズを2度失敗し、3戦目では送りバントをファール、小フライとした。

日ハムにもつけ入るチャンスがあるはずだが、大きなミスが日ハムに目立っている。

 

6回は、鈴木がカットボール2個ボールを選んだあと、3球目、4球目もカットボール、

結果としてバッテリーが、4球続けたカットボールで平行カウントとなり、

フォークボール2個にバットを止めてフォアボールを選んだ。

立ち直りたい有原が2死をとったあと簡単に3人で終わらせず、球数を放らせた。

結果、得点にはつながらなかったが、相手にプレッシャーをかけ、リズムに乗せないすばらしい働き、

ナイスバッティングだ。

こういう打席を見せられると、

次の打席はどういうバッティングを見せてくれるだろうと期待して見てしまう。

 

黒田は6回、上位ではじまるこの回をヤマと見たのだろう 2番近藤を抑え、3番大谷に力を入れ、

細心の注意で抑えたところで体に異常が出てしまった。

緊張感、特別な感情、慣れない北海道のマウンドが足をつらせてしまったか。

 

7回から登板の今村は、コントロールを操れないでいた。

そんな中1点差にもかかわらず、日ハムの打線に工夫がなく、得点できなかった。

点差が開いているわけではないのだから、ただ打つだけでなく、何かできるだろうというもの。

今村相手にはチャンスがあったように思われる。

 

そんな中、8回の中島のフォアボール獲得は、最高の働きだ。

球の速いピッチャー相手に高めの真っ直ぐにぎりぎりまで引きつけて見極めた。ナイスバッティング。

そして、2死2塁となり、

逆転のランナーを出すリスクをとっても大谷敬遠という当然の作戦をとってきた。

そしてついに4番が仕事をした。

 

やはり、中島がきっちりやるべきことをやったために、

この打順で大谷敬遠となり、逆転のランナーを置くことができた。

そして、中田も自分の仕事をした。

それぞれが、任された打順でやるべき仕事をしたためにそれぞれの持ち味を出すことができ、

打線がつながった結果だ。

これが野球だ。ただ、単純に一人一人が打つだけじゃないということ。

ボールひとつ空振りするか見極めるかで、後の打者に影響を与える。打線がつながるのだ。

 

鈴木は、前の打席が素晴らしかったので注目した次の打席で追い込まれてからきわどいコースを見極め

次の球できっちり右方向、俊足を生かして3塁打とした。

鈴木のこのシリーズ今後が楽しみだ。

 

9回の日ハム最後の守りでは、谷元が先頭の鈴木を3塁打で出して、

その後、緊張感をもって二人を打ち取ったのに、安部には簡単にストライクをとりにいった。

 

ボールから入っても、歩かせても、まあいいという場面で

初球をあそこまでジャストミートされては、バッテリーのミスだ。

勝ちがそこまで来ていたのに大きなチョンボ。

 

逆転の場面での攻撃陣が良かっただけに、守備につきながら

中田を筆頭に「何やってんだよ」という気になる初球の入りだった。

 

10回も西川がフォアボールを選んでからのチャンスだった。

中島同様これにより、大谷という軸がいるため、攻撃の幅をもたすことができる。

 

その大谷に対して広島は、

追い込んでからの盗塁だったので1塁が空いてはいたものの勝負の選択をした。

前の打席では歩かせていたのに。

それならボール球で誘いたい。

 

打たれた球は、ボール球だったが、ベースから離れて立つ大谷はインフィールドに入る。

そして大谷のあの体から繰り出される打棒でジャストミートしなくとも内野の間を抜いてしまう。

大谷警戒で下がっていた外野は、ホーム返球できない。

深めに守ることもわかるが、それなら間を抜けるような打球になる投球は、詰めが甘かった。

三振を取りに行き外野フライの投球ならわかる。

逆に外野を前にして低めにボール、歩かせてもいいというセオリーの投球の方が怪我は小さかったか。

結果論だが。

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