U-18は、格の違いを見せつける形で日本がアジアを制した。
しかし、戦前からわかっていたことだが、点をとる能力には乏しかった。
この能力においては、昨年の方があった。
この大会は投手力の力量によるものだった。全体的に好調とは映らなかった投手陣だが、
大会通じて1失点という抜群の力量差をみせた。
昨日の決勝は、チーム編成から投手陣を豊富にしたので、
今井、藤平、早川、堀、島と誰が先発してもいい状況にもっていけた。
逆に順番次第、今日の調子次第、相性次第で失敗できないプレッシャーがベンチにはある。
だが、一方で台湾とは実力差がある。
戦況ですぐに交代させることが頭にあり、スクランブルで臨む。
前回台湾戦で先発した今井を今日も先発とした。
寺島、今井、高橋を先発の軸に、中継ぎ陣も決めて各人の役割を決めていたのだろう。
立ち上がりを見る限り、今井の球速と鋭いスライダーに早い回で対応するのは厳しそうだった。
今井にはボール先行のカウントではストレートを要求する今大会の九鬼。
そのストレートをストライクコースへ投げ込もうとする今井。
初回の鈴木の左中間ヒットで1塁ランナーの伊藤は、3塁手前でスピードを緩めた。
中継プレーの乱れを予期して3塁コーチは可能な限り引っ張ったのか。
本塁突入は無理だったか。
今井は、コントロールが良くなく球数がかさむ。
変え時は早めになりそうだ。
後ろに控えるピッチャーが強力な日本。後ろに行くほど良くなると言えるほど。
フォアボール、デッドボール、送りバントでチャンスをつかむも
詰まったあたりのハーフライナーゲッツー。絶好のチャンスを逃した日本。
6回から堀にスイッチした日本。今大会の勝利の方程式は堀につなぐこと。
堀の真っ直ぐとスライダーから連打は難しいはずだ。
さあ、日本打線がピッチャーをそろそろ助けてあげなければいけない。
フォアボールふたつでランナーを出したところで
打ちあぐねていたアンダースローピッチャーを降ろした。
前回対戦経験のある右のオーバーハンドの球なら日本の甲子園に出るほどの代表選手たちには
打ちやすい球だろう。
その6回に、さあ、1点とった日本はどうやって試合をまとめるか。
1点差のままなら堀を引っ張るか。早川も信用できる。
点差が離れれば昨日投げた藤平もあるか。
堀を最後まで引っ張って逃げ切りをはかる日本。ここは、最も信用できる堀にかける。
堀を最後まで引っ張って守り切った日本。今大会のMVPは堀に尽きる。
そして1失点の投手陣が最大の勝因。
打線が点を取ってくれない中、日本投手陣がアジアにその力を見せつけた。
きめ細かい野球がアジアの頂点に立った。
堀のスライダーは腕の振りの良さから切って投げるタイプで
切るとはリリースの瞬間、指で鋭く切るということ。抜くイメージももっている。
こういう投げ方からのスライダーは、速くて鋭く、曲がり始めるとドンドン曲がる。
初対戦のこの世代の左打者はまず打てない。
優勝を決め、マウンドに集まる日本選手たち。
落ちた帽子を拾おうとするが、足がいっぱいあって拾い上げられないムードメーカー藤嶋。
国際試合は、時間が長い。
各国のチームは日本の高野連が標榜する高校野球システムと関係ないから
時間を使う。インプレーでなければ走らない。間をとる。
高校野球がいつも気にするスピードアップを求められたら、この日の試合のような
面白い展開にはならない。
野球は、間合いと心理戦。やたらなスピードアップは愚。