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二松学舎VS小山台 高校生の1球に賭ける執念は素晴らしい これぞ野球だ

雨が去り、予定通りの開催となった東東京決勝。

西東京は昨日、雨で流れ中3日となったが、東東京は金曜日の準決勝から中1日だ。

選手の体を気遣えば、西東京を今日へ、東東京を月曜日への方がいい。

できないことはないはずだ。

 

中1日となり、日程が詰まるほど層の厚い私立名門の方が有利となる。

小山台は投げ続けているエース・戸谷の右腕に甲子園をかけるので、間隔が欲しかった。

ただ、戸谷は力投派ではないため、割と連投がきく方ではある。

 

そんな心配をよそに、高校生の彼らの戦いは素晴らしいものとなった。

1つのアウト、1つの塁、1点をとるためにワンプレーに賭ける姿勢。

両チーム、作戦を尽くして勝とうとする姿勢。これぞ野球。

 

初回、小山台は3人で攻撃を終え、二松学舎は2人のランナーを出した。

低めを丁寧につく戸谷に対して、外へ逃げるスライダーをなかなか振らない二松学舎打者陣。

球数を要したが、5番打者を外高めの真っ直ぐで三振。

大事な立ち上がり、両チームとも得点なし、失点なし。

 

2回先頭の4番打者がヒットで出塁。

小山台は、初球バスターエンドランを仕掛け、1,3塁をつくる。これは大きい。

そしてセンターフライは定位置に。

チャンスはものにしていく野球をしたい小山台は、ここは勝負。3塁ランナーは当然、突っ込んだ。

小山台1点先制。

けん制悪送球とエラーからワンアウト1.3塁となり、平行カウントでエンドラン。

ここは転がして1点を獲りたかったが、準決勝2打点の吉田が内野フライ。

この2つのエンドラン。最初の成功と後ろの失敗が今後の展開にどう影響するか。

2アウトとなり、1塁ランナースタートで挟まれ3塁ランナーは突っ込むプレー。

2点目を獲りに行ったが、落ち着いて2塁手がカット、バックホームで刺す。

 

その裏、二松学舎は2つのセーフティバントで1,2塁とした。

両チーム、作戦を尽くして勝とうとする姿勢。これぞ野球。

ゲッツーの後、9番打者の打球は詰まったが、センター前へ落ちる。同点。

両チームが2回に1点ずつ取り合う。両チームが1点で踏ん張る。

好試合になってきた。

 

3回表、先頭をストレートのフォアボールで出塁させたが、続く打者が初球のボール球をゲッツー。

これは、二松学舎は助かった、小山台は痛い。

大きなポイントだ。

 

3回裏、2つの高いバウンドのゴロがともにヒットとなった二松学舎。

4番打者に送りバントの指示。何としても送りたい。2ストライクとなってバスターに切り替えると

サードごろゲッツー。大きなプレーだ。

 

ピンチを凌いだ後の4回、ワンアウト1,2塁からバントを試みる小山台。

前の回、強硬策ゲッツーがあっただけに送る作戦。

これまでの戦いでもワンアウトから送り、チャンスはものにする野球を繰り返してきた小山台。

ワンヒット2点の作戦をとってきた。

1塁ベースカバーがいなく、満塁に。盛り上がる小山台応援席。

ここで、今大会ラッキーボーイとも言える8番・吉田がタイムリー。

 

その裏、先頭ライト線2塁打は、ライトから素晴らしい返球が返ってきて際どいタイミング。

レベルの高い試合で素晴らしい。

送りバントの処理を誤り、1,3塁。

両チームの守備が、バントを1つアウトにできていない。

浅いセンターフライに無理にホームで勝負しない小山台。

2塁ランナーを3塁へ進塁させない選択をした。冷静なプレーだ。

ここで超ビッグプレーが飛び出した。

準決勝で「うめーなぁ」「おぉ!」と球場中から感嘆の声を漏らし、神宮をその守備の動きだけで

魅了した、ショート南がここでも魅せる。ダイビングキャッチ。

 

5回、サード前へセーフティがあった。

肩がよくないサード・佐藤を狙われていると判断したのだろう、

小山台は安田戦でケガをした正サード・池本に代えた。池本の守備はうまい。肩もいい。

しかし、佐藤のバッティングは良かった。

二松学舎は満塁から振り逃げ。

ピッチャーがホームベースカバーを途中で足を止めてしまった。

1塁でアウトを獲ると思ってしまった。

しかし、1塁は間に合わなかっただろう。ホームカバーしたかった。

その後、ショートゴロ内野安打で二松学舎が初めてリードを奪う。

 

二松学舎2番手の岸川には球威がある。

スライダーも切れている。

小山台は苦しくなってきた。

球威に押されるので、二松学舎の外野は右打者には前に、右に、寄りだした。

 

7回二松学舎の攻撃。

先頭をフルカウントからフォアボールで出した。

警戒する場面、振ってほしい低めのボールになるスライダーを見逃した。

次の初球を簡単に送らせ、つづく初球が逆球で真ん中高めへ、左中間2塁打で2点差に。

小山台バッテリーとしては攻めが甘かった。バントも初球、タイムリーも初球。大きなポイント。

3盗のあとの内野ゴロで3点差。

3盗を決めたランナーは打者へゴロを転がせと指示しているようだった。

俺が突っ込むと。そこで低めの球を内野ゴロとした。

選手間でどうやって点を獲るか意識が浸透しているようだ。

二松学舎の仕掛けが素晴らしい。理想の攻め方だ。

岸川のピッチングが二松学舎にチャンスを呼び込んでいる。

 

8回、小山台の攻撃、連打で1,2塁としたあと、ツーアウト1,3塁。

ここでラッキーボーイの吉田に周ってきた。

タイムをとって、二松学舎がマウンドへ集まる間、小山台応援団が吉田に大きな期待を寄せる。

3塁側は吉田!吉田!の大合唱。

この大舞台で選手はこれだけ応援されて幸せだ。最高の瞬間だろう。

応援するチャンスをもらえ、興奮できる瞬間に立ち会えるスタンドも幸せだ。

 

3塁にランナーを置き、終盤の勝負所でゴロを打って点を獲った二松学舎と、その点の獲り方を

2回の攻撃でやりたかった小山台。

そして振り逃げに刺せたかは微妙なタイミングだったが、ホームカバーができなかった小山台。

そして、バントの多くで1つのアウトがとれなかった小山台。

3回のノーアウトのランナーを初球打ってゲッツーの小山台。

7回の先頭打者を歩かせてしまった小山台。

7回の二松学舎の仕掛けは素晴らしかった。

バントを決め、初球の甘い球を逃さずタイムリー、ノーサインで3盗を決め、しっかりゴロを打つ。

 

立ち見が出るほど、満員にした神宮に相応しい好ゲーム。

勝敗は時の運。実力は互角だった。

楽しませてくれて、ありがとう。

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