山口を回避した済美。賢明な判断だ。もう投げさせたくない。
日程が詰まる中、地方大会から投げ続けてきた山口の出番がなくとも、ベスト8まで来られれば
充分だ。高校野球がこういう仕組みである以上、仕方がない。
4回裏、報徳の攻撃1死1，3塁から前進守備のショートに打球が飛ぶと、難しいバウンドを
半身で捕り、逆回転からゲッツーをとりにいった。
同点となるショートゴロをうしろに逸らしているだけに、ここはチームを救うプレーだ。
セカンドも前進守備からこれによく反応して2塁ベースカバーへ入り、ゲッツーを完成させた。
スーパープレーが飛び出した。
勝負所となった5回裏、報徳1死1，3塁。小園を迎えたところで堪らず、山口に頼ってしまった。
本当は投げてほしくないところだ。
エース登場でドラフト候補・小園のスター性が問われる場面に見えた。
そこを山口が抑え、小園は三振に終わった。
9回、小園のエラーで先頭を出塁させ、バント失敗でランナーが入れ替わった後
2死2塁からセンターへ抜ける当たりも、小園はランナーをベースに引きつけようと牽制の動きをし、
ポジションに戻ったところに飛んできてしまった。重心が3遊間寄りに乗ったため、反応が一瞬、
遅れ、飛びつく横を抜けて行ってしまった。
勝負の分け目は、やはり一瞬。
それは、大差がついた試合でも実は、一瞬が勝負を分けていることがある。
ストライク、ボールの判定、アウト、セーフの判定でその後のプレーや作戦の選択が変わる。
そして展開が変わり、大差に変わってしまうことがある。
明日、休みを置いてまた山口は投げるだろう。
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