高校野球はトーナメント戦を採用している。
これは、高校生活という、限られた短い期間の中で参加するチームが膨大のため、
この方法を採用する。
プロは6ヶ月ほどの期間で総当たりリーグ戦を採用する。
それは、1リーグで6チームしかなく、またエンターテインメントとしてお金を稼ぐ必要があるので
試合数を確保しなければいけないから。
その高校野球ではトーナメントなのでベスト16のチームが本当の実力上位16にはならないことになる。
山の妙があるので、初めの方で優勝候補がつぶし合えば、漁夫の利を受けるチームが出てくる。
毎年、躍進する無印チームが出るのはトーナメントだからだ。
シードを採用していない大阪大会では、2015年夏、4連覇を狙う大阪桐蔭と、その前の年、
センバツ準優勝の履正社が、初戦でいきなり横綱対決となった。
こうなれば当然、上位には対戦相手に恵まれたチームが浮上してくる。
また、トーナメントの一発勝負では実力上位のチームが相手の情報を持たずに戦い、敗れるという場合がある。
10回対戦すれば9回は勝つであろうと思われるチームでも、その1回が大一番の夏の大会になるというケースだ。
逆に、実績のないチームでも毎年メンバーが変わる高校野球では、その代に好選手が集まり、強くなるということもある。
特に野球はピッチャーなので、好投手が入学したり、急激に成長するピッチャーを擁したりで、
強くなる場合がある。
そんな過去の実績はたいしたことないチームが名門校に当たって、たとえ負けたとしても
いくつか対戦すれば勝てるという感覚を持つことも少なくない。
だから、本当のベスト16を決めるのなら5戦くらいはやってみないとわからないものだ。
今夏の神奈川では相洋高校が初めて決勝まで進んだ。
決勝の相手は東海大相模で、センバツがあれば優勝候補に挙げられていたほどのチームだ。
東海大相模は順当に決勝まで来たが、相洋が決勝進出できたのは、同校OBの監督が
どうにか母校を強くしたいと、チームづくりをしてきたからだ。
チームは東海大相模に勝ちたいという目標を掲げ、修練してきた。
1年の秋から今夏のレギュラー3年生が中心となるようチームづくりをしてきたことにより、
約2年をかけたチームは他のチームより熟練度は上がることになる。
そして迎えた決勝戦も東海大相模相手に8回2死まで3点リードしていた。
満塁から2つ目のアウトは4番打者を三振にとったものだった。
この時の10番をつけたピッチャーがとてもいいピッチャーだった。
全国を見回しても、好投手に推されるほどのピッチャーだった。
ところが、2死満塁となったところでエースナンバーのピッチャーに代えた。
実力は10番のピッチャーの方が上に映った。
替え時が違えば、あるいはもうちょっと引っ張っていれば、勝っていた可能性は十分ある。
そして高校野球の2年4か月ほどでなく、5年あれば、そこまでの大差にもならないチームも出てくる。
トーナメントの一発勝負でのベスト16はベストの16チームではないが、
この1発勝負が高校野球にドラマを生んできた。
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