日本シリーズでオリックス・中川が神宮でのセンター後方のフライをフェンスに
ぶつかりながら好捕するプレーがあった。
ハイセンスでプロらしいプレーだ。
一見地味だが、技術とセンスが凝縮されていた。
後方に走りながら打球の落下地点を目測し、フェンスの位置はハナから把握している。
この打球を捕るにはフェンスにぶつかるとわかりながら走っている。
いざ捕球の体勢に移ると、今度はフェンスのぶつかり方を即座に判断する。
背中をフェンスに預けるようにして衝撃を少なくし、その前で飛びながらキャッチできると余裕を持った。
激突しながら好捕と表現するメディアもあるが、激突ではなくクッションのようにした。
さらにグラブの出し方だ。
打球を捕球したい、と強く思う程グラブを早く出したくなる。
そこは経験と技術でグラブを出すタイミングを身につけている。
プロだから当たり前とは言え、グラブを遅く出せるほど守備力は高い。
新庄の外野守備はグラブさばきが見事だった。
捕る寸前にグラブをスッと差し出すセンスは意識して取り組んで身につけるものと思われる。
イチローは球際の厳しい打球に早めにグラブを出してしまう傾向にあったのでそこは美しくなかった。
これらが凝縮されていた中川のプレーだった。
ハイセンスほど派手に見えない。
うまい選手ほどさりげなくプレーできるし、余計な動きが少ないほどさらに難しい打球に対して
キャッチが可能となる。
どこまで余裕を持てるか、がレベルを高くさせる。
