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ランナーが多すぎる タイブレークの特徴

タイブレークは裏の攻撃が精神的に有利に立つ。

相手の表の攻撃如何で作戦を選択できるから。

表の方は、二人のランナーを何とか還して2点はとりたいと思う。

0点で終わろうものなら、もう負けたな、と覚悟する。

だから、2点では心許ないので送りバントでなく、打たせて3点以上とろうか、などと考える。


裏の方は、表の結果で作戦を考えればいい。

表の送りバントで三塁フォースアウトを獲ったら、この時点で勝ったと思うほどだ。

0点に抑えたら、もうそりゃ、もらったようなものだ。

さらに0点に抑えた上、自分の攻撃で送りバントが決まったら、もう勝ったも同然。

タイブレークの心理状況はこんなところ。


数年前の甲子園でタイブレークとなった星稜-智弁和歌山では表と裏で4度、

両チーム、先頭打者がバントを試みた。

ところが、全てサードでフォースアウトとなり、失敗した。

それは、一、二塁でのバントは難しいからだ。

 

守る側からすればタッチプレーの場合より時間に余裕を持ってプレーができる。

逆に攻撃側からすれば相手に余裕を与えてしまうということは、難しいということになるわけだ。

バントしてフィールドに打球が転がっている時間を長くしなければならなくなる。


フォースプレーだと塁が埋まっているということであり、ファーストはベースにつかない。

ランナーが一、二塁の時は、ファーストはベースについて牽制に備えたり、

ランナーを引きつけたりする必要がなくなってくる。

それは二塁にランナーがいることで、一塁ランナーは自由な走塁ができなくなるから。

 

塁が埋まっている状況では前にランナーがいると、後ろのランナーの自由は制限される。

ランナーの自由が制限される一方、守備側のファーストは一塁ランナーを気にする必要なく、

自由に動くことができる。

すると、ファーストはランナーを気にせず、打者を注視し、バントに備えて

一気にチャージをかけることができるのだ。

 

こうなると、攻撃側はチャージをかけてくる相手守備陣にプレッシャーを感じてしまうものだ。

うまいバントをしないと成功しない、と。

そして、こういう場合、打者はサードに捕らせなきゃという意識がはたらき、さらに難しくする。

星稜の失敗のひとつはチャージをかけてきたファーストがピッチャー前に転がったゴロを

サードで刺したものだった。

 

三進させるためのバントは三塁手に捕らせることがセオリーとなる。

一見、三塁に転がすと三塁ベースに近いから刺しやすいと思いがちだ。

三塁手に捕らせたら、捕ったあと、すぐ後ろに振り向けば三塁ベースがそこにあるわけで

刺しやすいと思いがち。

ところが、実は三塁手が捕るとサードでは、まず刺せない。

 

それは、二塁にランナーがいることで、三塁手は思い切って前に出られないからだ。

三塁ベースを空けてしまうと、二塁ランナーにスタートを切られる可能性があるので、空けられないのだ。

三塁手が思い切って前に出られないため三塁手に捕らせれば、シフトを敷いていない限り

三塁で刺すということはできない。

こういった理由で、三進させるためのバントは三塁手に捕らせろということになる。

 

また、一塁手は前に来て、後ろの二塁に放るより、横あるいは、斜めとなる三塁は

勢いそのままに放ることができる。

 

それからフォースプレーとタッチプレーの違いというのがある。

フォースプレーは、三塁手がベースに足を突いて、伸びることで捕球をすれば

アウトをひとつ獲得できる。

 

タッチプレーはその名の通り、ランナーにタッチが必要だ。

タッチするには、ランナーの足がベースに入ってくる地点に送球が来てくれる事が理想。

捕った状態でわざわざランナーに触れなくても勝手に足がグラブにぶつかって自ら

タッチされに来ているかのような状態が理想なわけだ。

 

これが、受け手の胸辺りに、一般的には良い送球とされるものだと、

タッチに行くとなったらその分、ロスが生まれる。

まして高く行ったり、ベース上より逸れたりしたら大きなロスであり、相手の暴走でもない限り

刺すことはできなくなる。

 

一方、フォースプレーなら高く行っても、逸れても足をつけたまま体や腕を伸ばして

キャッチするだけでいいので、送球の質にそれほどこだわらない。

とにかく足がベースから離れないところに送球できれば、ほとんどロスはない。

 

これだけ、フォースプレーとタッチプレーでは時間の差と送球の質に違いがある。

したがい、フォースプレーは守備側からすればタッチプレーに比べかなり楽。

逆に攻める方は、フォースプレーでのバントを決めるのは難しいということになる。

塁間27メートル程度、0コンマでアウトとセーフが分かれる野球ではこれは大きな差だ。

ところでタイブレークはこのフォースプレーではじまるというところに大きな特徴がある。

次週へ。

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