エンドランに打者は何が何でもバットに当てに行く。
それがコンセンサスだからだ。
バッテリーが外した場合は飛びついてでもバットに当てる。
ファールにしたいから。
エンドランにはランナーはスタートを遅らせる。
遅らせるというより保守のスタートを切り、絶対にホームへ投げることを確信して
スタートを切るということだ。
盗塁をするわけではないからスタートにそれほど繊細にはならない。
この際、どうしてもバットに当てたい打者がバットを投げることがある。
バットを投げるということは、ボールを外された、届かない、と判断した時だ。
つまり振り遅れの状態になることが多い。
するとランナーはスタートを切っており、しかもキャッチャーは外しているので
振ってこないと思うし、作戦大成功で早く投げたいと体重は前にかかる。
そこへタイミング遅れたバットが飛んでくる。
とても危険だ。
そもそもバットを投げるという行為がはしたないし、スポーツマンシップから外れるともとれる。
だから咎めや誹りは免れないことになり得るのだが、なにもしなければチームへの背任となってしまう。
何かしなきゃと、打者は思い、普段から絶対にバットにだけは当てろと言われている。
そこを、一瞬の判断でバットを投げてしまうのだ。
褒められないが、同情は禁じ得ない。
なんとかしたいから。
これが一発勝負だったらどうだろう。
負けたら終わりの中で、遠慮していたら終わってしまう。
なんとかしなきゃと思えば、バットも投げるだろう。
だから日頃から練習しておく必要があるのだが、実際はそこまでは気が回らない。
他にもやることがある中、使うかどうかわからないプレーに時間は割けない。
だから何とかバットに当てろ、と考えた場合、せいぜいが飛びつく練習くらいのものだろう。
しかも、試合で経験したことのない可能性の方が高い。
野球人生でこのプレーを体験したことがない人の方が多いだろう。
それをとっさに危険を回避してうまくやれ、というのは酷だ。
